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かのこちゃんとマドレーヌ夫人

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かのこちゃんは小学一年生の元気な女の子。マドレーヌ夫人は外国語を話す優雅な猫。その毎日は、思いがけない出来事の連続で、不思議や驚きに充ち満ちている。




万城目学さんの本です。

天才・マキメ、キター!!!!

と思わず叫んでしまいたくなる素敵な一冊でした。

かのこちゃん可愛すぎる!
そしてマドレーヌ夫人、素敵過ぎる!


万城目氏と言えば、「鴨川ホルモー」や「鹿男あをによし」「プリンセス・トヨトミ」等、いつもの出版社から出版されているのが普通でしたが、今回は何故か突然ちくまプリマー新書での出版ということで、出版されているのに気付かなかった(マキメ氏の大ファンのこの私がっ!)のです。

新書っていうと、あれですよ。
ノベルスと同じあの大きいような小さいような(文庫よりでかく、新書より小さい)あの微妙な大きさなんですよね。
そして「ちくま~」というところの本という、かなり知名度が低い状態だったかと思うんです。

私はたまたま、新聞の広告欄で目にして慌てて図書館に予約したクチですが、こんなに素敵な本が、マイナーな新書から出ていることで、万人の目に触れないまま終わってしまうのだとしたら、とても勿体ない!と思ってしまうくらい、素敵な作品でした。

って、ちくまプリマー新書を批判する気は毛頭ないのですが、とにかく書店でも目立った所に置いていなかったことが、残念でならないのです!

ユーザーレビューを読んでいただければ分かりますが、辛口なレビューが多く巷で溢れている中、とても好意的で、絶賛コメントが多いのでぜひそちらも参考にしてみてください!




タイトルを見た時、日本ではない設定(マドレーヌ夫人というから)の物語なんだろうか・・・と全然期待していませんでした。

今回は、小学1年生のかのこちゃんとその家族、及び飼い猫のマドレーヌと飼い犬の玄三郎の物語でした。


猫語だけではなく、人間の言葉も犬語も理解する上品な猫・マドレーヌ。


ある日、ゴリラじゃないやつことゲリラ豪雨があった日、飼い犬の玄三郎の小屋の中にいたのは、アカトラの猫だった。猫はマドレーヌという名前をつけられ、かのこちゃんの家で飼われる事になった。

鹿から言われて、「かのこ」という名前をつけたというお父さんは、鹿と話が出来るらしい。
優しいお母さんは、マドレーヌを焼いてくれる。
小学生になって、初めて出来た「ふんけー」の友、すずちゃんとの別れ。

人間の言葉を分かっているでしょう?という風に、マドレーヌと玄三郎に話しかけるかのこちゃん。

老いて小さく弱々しくなっていく玄三郎の妻でもあるマドレーヌが体験した、不思議な記憶――




かのこちゃんの、真っすぐで素直で、ユーモアのある個性豊かな女の子っていうのがとても良いです。

すずちゃんとの「ふん」繋がりの素敵な出会い、そしてマドレーヌが見つめる人間達の姿。


かのこちゃんサイドと、マドレーヌ夫人サイドで、人間側と猫側から物語を見る事ができるから、気付かなかった部分にはっとさせられて、とにかく微笑ましくて、ちょっぴり切なくて、少し泣ける話でした。


鹿と話せるかのこちゃんのお父さんは、「鹿男~」のあの人なんでしょうか?
だとしたら、当時よりちょっと丸く大らかになったような気がして、何だかクスリと笑えます。


かのこちゃんの世界が、少しずつ少しずつ広がっていく様や、心の変化がとても丁寧に優しく描かれていきます。

天才マキメ氏、また凄い作品を届けてくれました!


お薦めです!!