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かのこちゃんとマドレーヌ夫人(文庫版)

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かのこちゃんは小学1年生の女の子。玄三郎はかのこちゃんの家の年老いた柴犬。マドレーヌ夫人は外国語を話せるアカトラの猫。ゲリラ豪雨が襲ったある日、玄三郎の犬小屋にマドレーヌ夫人が逃げこんできて…。元気なかのこちゃんの活躍、気高いマドレーヌ夫人の冒険、この世の不思議、うれしい出会い、いつか訪れる別れ。誰もが通り過ぎた日々が、キラキラした輝きとともに蘇り、やがて静かな余韻が心の奥底に染みわたる。


万城目学さんの本です。
 
ずっと文庫化するのを待っておりました。
発売が決まり、Amazonのポイントもたまったのでポイントで購入。
 
読んだのが大分前なのですが、その時にかなり面白かったと印象に残っていて絶対文庫が出たら買おうって思っていたのですね。
 
改めて読み直してみて・・・面白いというより、なんだろう・・・じんとする。目頭が不思議と熱くなっているというか。
小学1年生のかのこちゃんが凄く真っすぐで、素直な良い子なんだよね。
そして気品のあるアカトラ猫のマドレーヌ夫人と、夫人のご主人の玄三郎の夫婦の寄りそうような関係が凄く良いです。
 
かのこちゃんのお父さんは「鹿と話ができる」お父さん(鹿男の先生だとするならば、大分丸くなったなあという印象・笑)。お父さんが鹿からすすめられた「鹿の子(かのこ)」という名前を娘につけたんですね。
 
指しゃぶりが癖だったかのこちゃんは、小学1年生になって指しゃぶりを卒業。
「いかんせん」や「ほとほと」「やおら」「たまさか」などお父さんに教えてもらった言葉がお気に入り。
ある日、「ふんけーの友」となるクラスメイトのすずちゃんと運命的な出会いをします。
 
すずちゃんとの「お茶会」での「ござる」言葉のやりとりにはくすりと笑ってしまい、最後の「大人のお別れ」で涙を必死にこらえるかのこちゃんが本当に愛おしいほどに可愛らしいのです。
 
そしてそんなかのこちゃんと、飼い猫のマドレーヌ夫人は言葉が通じなくてもお互いの心が通じ合っているのがよく分かります。
気高く気品すら漂うマドレーヌ夫人の上から物事を見ている感じが、後半にいくにつれてかのこちゃんを優しいまなざしで見ている変化に気付くでしょう。
 
マドレーヌ夫人の大冒険が、人間と猫という超えられない壁をも超えてしまいます。
 
散りばめられたシーンの一つ一つが何だかホロ苦く、切ないです。
ほっこりとした温かさの中にじーんとくる感じが入って、こんなマキメ氏の作品も大好きだー!と思うのでした。
(5点)


新書版 「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」感想