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スロウハイツの神様(上) <文庫版>

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人気作家チヨダ・コーキの小説で人が死んだーー

あの事件から10年。
アパート「スロウハイツ」ではオーナーである脚本家の赤羽環とコーキ、そして友人たちが共同生活を送っていた。
夢を語り、物語を作る。
好きなことに没頭し、刺激し合っていた6人。
空室だった201号室に、新たな住人がやってくるまでは。




辻村深月さんの本です。

ノベルス版で一度読んだ時には、正直そんなに響かなかった作品でした。

他の方のブログを観たり、ネットのレビューではかなり評価が高くて、自分の感性がおかしいのだろうかと考えてしまったほど。

辻村作品の中では、やっぱり私の中で「子どもたちは夜と遊ぶ」以上のものはまだなくて、その繋がりで「凍りのくじら」や「ぼくのメジャースプーン」も好きなんです。

なので、この三作に限って言えば、古本で買ったのも含めて実はノベルス版と文庫版の両方を持っているファンっぷり。

だけど何故かこの作品だけはいまいちピンと来なくて、文庫化するまで購入するのは待とうと思っていました。
久しぶりに読んで、結末は覚えているんだけど、細部は結構忘れてしまっていました。

私が多分この話にそこまではまらなかったのは、多分この主人公・赤羽環が好きになれないタイプだからなのだと思います。




母親との確執、辛い過去、決して人前で見せない涙、一人で生きていけるという強さを見せつけながらも、実はとても脆いところ。
気丈で、若く才能に溢れたアーティスト・赤羽環。


多分現実に、私の周りにこういう女の子はいない。

同じように、「子どもたちは~」の月子もそうなんだけど、何でだろう。環も月子も、自分のスタンスを強く持っていて、気丈である点ではとても似ている。

だけど月子はかなり大好きなキャラクタ―の一人なのに、環は何故か好きになれない。

理由は分からないのだけれど、再読してみて、たった1,2年ぶりに読んだのに・・・

なんだろう、とてもぐっときてしまった。


小説・漫画・脚本・絵・映画――様々な分野で、「アーティスト」を目指し、またはそれを生業としている若者達が、奇跡のようにスロウハイツという家に住む。

いい意味で刺激しあいながら、わきあいあいと暮らしていた仲間達が、一人の美少女の入居をきっかけに少しずつ変化していく・・・


コウちゃんが、とても良いです。

ラストの展開はなんとなく覚えているのに、今下巻を読んでいて次の展開が気になって気になって仕方ない。
こんなにわくわくするのは、やっぱり辻村作品故なんだよな。

読みたい本や欲しい本は一杯あるけど、こんな風にドキドキする感覚、忘れていた気がします。
そういう本を書いてしまう辻村さんは、やっぱり大好きなのです。

再読でこんなに気持ちに変化があるなんて、自分でもびっくり。

先が見えなくて、色々な事に迷っている今だからなのかもしれませんけどね。