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光待つ場所へ(文庫版)

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大学二年の春。清水あやめには自信があった。世界を見るには感性という武器がいる。自分にはそれがある。最初の課題で描いた燃えるような桜並木も自分以上に表現できる学生はいないと思っていた。彼の作品を見るまでは(「しあわせのこみち」)。


辻村深月さんの本です。
 
単行本版で読んでいたのですが、文庫版描き下ろしが収録されているということで図書館で予約。
久しぶりに読むと、やっぱり良いですね。
 
「冷たい校舎の時は止まる」「スロウハイツの神様」「ぼくのメジャースプーン」「凍りのくじら」を読んでいる人であれば、嬉しい懐かしの登場人物たち。
 
唯一「冷たい~」は楽しめなかったのであまり思い入れがないのですが、未読の人でも十分楽しめる短編集になっています。
 
なかでも「チハラトーコの物語」と「樹氷の街」はおすすめ。
 
樹氷の~」は郁也がピアノ留学をせずあの高校に進学した裏エピソードであるとか、勿論理帆子も出てきますし、「チハラ~」では、赤羽環が出てきたりするので、読んでいてにやりとしてしまいますね。
 
文庫解説は朝井リョウさんが担当。
朝井さんも好きな作家のひとりなので、解説にうんうんうなずきながら大満足で本を読み終えたのでした。
 
直木賞受賞後の辻村作品も良いけれど、当時のドロドロできゅーって胸が苦しくなるのに、最後のハッピーエンドでほっとする、という展開も大好きなのであります。
(4.5点)