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ダリアの笑顔

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「綿貫さんち」は四人家族。「明るく笑うもう一人の自分」を空想する長女・真美。主婦業と仕事をこなしながら、揺れる40代を惑う母・春子。転校生の女子に投手の座を奪われそうな長男・健介。経理課係長の仕事に疲れ、うつ病を心配する父・明弘。どこにでもいそうな家族が、悩みを抱えながらお互いを支え合う日常を、それぞれの視点から描いた小さな宝石のような物語。

椰月美智子さんの本です。
 
とても良かった!!
 
いつのころからか、家族小説がとても好きになっている私ですが、元気一杯で強い母、引っ込み思案の姉、ひょうひょうとしているようだけど自分を持っている弟、仕事に疲れている父の綿貫家を舞台にした物語。
 
特に冒頭の姉の話が泣ける・・・!
苛々しがちな母にビクビクする姉、夫婦喧嘩の声を聞いて怯えるほどで、学校でも大人しいグループに所属するお姉ちゃん。
ひょんなことから、母親の育児日記を見つけたことで、母親が自分を生んだ時に感じたこと、素直な感情を知り少しずつ成長していきます。
 
最初はヒステリーかとも思えるくらいの母親の姿が語られるのですが、育児日記の頃の母は生まれた子に対して本当に愛おしいと思っている事が伝わってきます。
それを読んだ事で、大人しかったお姉ちゃんが、語り手の視点を変えるごとに(姉⇒母⇒弟⇒父)成長しているのが見えるので嬉しくなります。
 
パワフルな母の話、ひょうひょうとした弟と転校生の話まではとても面白かったのですが、父の話だけは微妙だったかなあ・・・。
なんか家族から見た父と職場の父とのギャップが凄かったような。
 
ともあれ、とても楽しく読む事ができました。
家族っていいなあ。
(4.5点)