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オアシス

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ため息をひとつつく。哀愁ってやつだ―私が“出会った”青い自転車が盗まれた。呆然自失の中、私の自転車を探す日々が始まる。父は単身赴任、母は家事放棄の“粗大ゴミ”。私と姉と母、女三人の日常は、どこか不穏ながらも、永遠に続くかに見えたのだが…。第40回文藝賞受賞作。


生田紗代さんの本です。

先日初めて読んだ「それいゆ」がなかなか良かったので、文芸賞受賞作のデビュー作である本作を手に取ってみました。

あ、やっぱり嫌いじゃないですね。
とても読みやすく、それでいてピリリとした毒というか辛みが加わっていて、ひねくれものの私には心地良く感じました。


父親の転勤を機に家事の一切を放棄するようになってしまった母親と、ある理由から大切にしていた自転車を盗まれ、自転車探しに躍起になる主人公の、日常にありふれた話。

特別な事は起きないし、お決まりの「文藝賞らしい」作品ではありますが、嫌いじゃないですね。

私は母が病気がちで、それでも働いている姿を見てるので、この母親の謎の病気(家事放棄)に毒づく姉妹に納得してしまいましたが、
ある程度のお金があって、家事をやってくれる姉妹がいて、家賃を気にしないで良い一軒家があったら…だからこそ、この母親の病気も許されるんでしょうが。。

盗まれた自転車に固執する理由が、軽くしか書かれていなくてもやもや感はありますが、なかなか悪くないデビュー作でした。