武蔵を心の師とする剣道エリートの香織は、中学最後の大会で、無名選手の早苗に負けてしまう。敗北の悔しさを片時も忘れられない香織と、勝利にこだわらず「お気楽不動心」の早苗。相反する二人が、同じ高校に進学し、剣道部で再会を果たすが…。青春を剣道にかける女子二人の傑作エンターテインメント。
誉田哲也さんの本です。
初めて読んだ時の、衝撃とインパクトと言ったら・・・・今でも鮮烈な印象を残してくれる作品であります。
誉田さんといえば、警察小説のイメージが強いのですが、何だか話題になっていたこの作品こそが初めて読んだ誉田作品だったのでした。
だからこの作品をきっかけに誉田さんの本を読むようになって、その世界観のあまりのギャップに仰天しました。
「著者初の人が誰も死なない小説」という謳い文句も、この小説を読む限りそんな物騒な小説（笑）を書いているイメージを全く抱けない。
とにかく16歳の女子高生、しかも超個性的な香織と早苗という魅力的な人物の描き方の上手いこと上手いこと！
剣道を勝ち負けにこだわって続けてきた香織が、剣道を始めてまだ年が浅い早苗という人間に出会う事によって、初めて気づかされる思いや、剣道を何故続けるのか？であるとか、挫折と成長を経験して一回りも二回りも大きくなっていく感じがじんと心に響きます。
剣道をメインに据えながら、そしてしっかりと青春を描きながら、友情や家族との繋がりまで丁寧に綴られているので、思わず涙ぐみそうになる場面も多いです。
テンポ良く展開する物語と、綺麗な挿絵で目を休めてくれながら、すいすい読み切ってしまいました。
文庫化されて購入し、本作を読んだのは２回目ですが・・・・間違いなく、確信を持って、5つ☆をつけたい良作です。
でも改めて原作を読んでみると、映画は結構内容が違っている気がしました。
原作が素晴らし過ぎるだけに、あの映画は悪くなかったけど・・・・もうちょっと頑張って欲しかったかも。
