「僕ね、母親を殺したんですよ、包丁で、すごい先の尖ったやつで」。母を殺し、知らない街をさまよう“僕”は、ホームレスのテントで暮らすようになり…。第32回すばる文学賞受賞作品。選考委員絶賛の衝撃作。
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天埜裕文さんの本です。
第32回すばる文学賞受賞作として、にわかに話題になっていた本作。
大体新人の受賞作というのは、期待外れのことが多い気がします。
過剰評価されていたりする割には、あれ?みたいな。
過剰評価されていたりする割には、あれ?みたいな。
でも、この人・・将来が楽しみですよ。
私はそう思いました。
私はそう思いました。
改行が少ないので少し読みにくいな、とは思ったのですが・・慣れてしまえばこの文章の淡々としたところも結構悪くない。
また、著者自体が不登校や自主退学などを経験していること、また携帯で(!)10ヶ月かけて仕上げたという本作の創作秘話を知ってしまうと・・ただものではないなと思いました。
母親をどうして刺し殺したのかという理由や、結末の描写の謎も詳しくは書かれていません。
でも、人生における喪失感や絶望というような誰にでも起こりうる事を、淡々とだけど力強いタッチで描かれた本作は、なかなかに読み応えがありました。
でも、人生における喪失感や絶望というような誰にでも起こりうる事を、淡々とだけど力強いタッチで描かれた本作は、なかなかに読み応えがありました。
主人公の行く末はどうなってしまうのか・・・とは思いますが、今後に期待します。