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君の隣に

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横浜・伊勢佐木町で風俗店『ピーチドロップス』を営む大学生・早瀬俊。
彼は進藤翼という少女と二人で暮らしていた。
深い翳を宿す青年・早瀬と、非の打ち所がない少女・翼。
店の常連客、翼の担任教師、老いた元警官など周囲の人物たちから、少しずつ早瀬と翼の秘密が明かされていく――。

本多孝好さんの本です。
 
本多さん、やっぱりこういう系の話を書くといいですよねえ。
 
俊を主人公に据えて、渚さんとの出会いまでにどんな過去を辿ってきて、心酔するに至ったのかというのを書いていっても1冊の本として完成したとは思うんですが、恐ろしく暗い話になりそうですね、という感じであり。
敢えて第三者の目線で連作短編としているのはとてもいいと思います。
 
大学生なのに風俗店のオーナーの俊。
俊は翼という少女と暮らしている。
 
1つめの話を読んだ時点で、色々な想像が出来てしましますよね。
この少女と何か強い絆で結ばれているのか、それとも恋愛関係ではないのか??
 
そして2つめ、3つめと読んで行くと、不穏な雰囲気。
もしかして翼には辛い経験が・・・?と悪い想像をし始めたところで、少しずつ様相が変わってきます。
 
個人的には元警官故に知らなくてもいい情報を知っているからこそ、娘が何をしているかというのが分かってしまう父親の想い。ラストで凄くじんとしてしまいましたね。
 
そして「普通の」中学生である男の子が、翼から彼氏のふりをしてほしいと頼まれる。
両親は健在、妹とは喧嘩しつつも仲が良い普通の家庭の日常。
 
そんな日常を読んだ後、翼の家庭環境との対比が凄く極端に思えて、何とも切なくなる。
けれどもこの男の子の話がラストで良かったです。
光が見えるラスト。
本多さん、やっぱりこういう話うまいよなあ。
(4.5点)