完全に施錠された少女の家に現れたサンタ、殺されていた母親。鳥居の亡霊、猿時計の怪。クリスマスの朝、少女は枕もとに生まれて初めてのプレゼントを見つけた。家は内側から施錠され、本物のサンタが来たとしか考えられなかったが―別の部屋で少女の母親が殺されていた。誰も入れないはずの、他に誰もいない家で。周囲で頻発する怪現象との関連は?
島田荘司さんの御手洗シリーズ最新刊。
島田さんは大御所で過去作品が秀で過ぎている傑作が多いので、長年のファンの方からは割と酷評されている感じですが・・・私的には結構楽しめました。
ただし、御手洗の活躍を読みたい、石岡君とのコンビをまた読みたいという期待には残念ながら応えてはくれていませんけどね。石岡君は全く出てきません(名前すらも)。
御手洗の京大時代の話で、複数の謎について御手洗がそれを解いていくのかなと期待しているとちょっと残念にはなると思います。
ただ、私はこの少女と国丸さんの人情味溢れる話を好ましく読んだので、そっちの面で普通に楽しめたという感じでした。
不幸せではないけれど、普通の子供に比べると不憫な少女時代を送る一人の少女がいる。
クリスマスにはプレゼントを一度ももらったことがない。
そんな不憫な少女に、サンタクロースからのプレゼントを贈ってあげたいと思う一人の男=国丸さん。
結果、とある事件に巻き込まれて容疑者として逮捕されてしまうも、少女のために決して真相を明かさないまま時が流れ・・・
自分の人生を犠牲にしてもなお、ただ少女にサンタクロースからのプレゼントであると思っていてもらいたい、と願い続ける国丸さんがなんだか凄いです。
自分の子供時代を少女に重ね、せめて少女には幸せでいてほしいとひたすらに思えるその純粋な気持ちはどこからくるのでしょうね。。。
実はあるものがきっかけで真相に気づいていた成長した少女との再会。ラストも温かくなる展開でした。
ちょうどクリスマスを前にした時期に読めてよかったなあと思います。
できれば御手洗が謎を解くのを読みたかったというのはありますが、なかなか楽しめました。
でも今後もこういうちょっと軽めの事件系の話になるんですかね。
好きなシリーズなのでずっと読み続けていきますけどね。
(4点)