No-music.No-life

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MOMENT

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死ぬ前にひとつ願いが叶うとしたら…。病院でバイトをする大学生の「僕」。ある末期患者の願いを叶えた事から、彼の元には患者たちの最後の願いが寄せられるようになる。恋心、家族への愛、死に対する恐怖、そして癒えることのない深い悲しみ。願いに込められた命の真実に彼の心は揺れ動く。ひとは人生の終わりに誰を想い、何を願うのか。そこにある小さいけれど確かな希望―

本多孝好さんの本です。
恥ずかしながら…本多さんの本を読破したと思いこんでおりまして、唯一読み逃していたのがこの本でした。
何か片仮名表記で似てません?
『FINE DAYS』も『MISSING』もこの本も(笑)

今作は四つの連作短編から構成されています。
就活を放棄した大学四年生の主人公が、バイト先の病院に入院している末期の患者の願いを一つだけ叶えてあげる『必殺仕事人伝説』の【仕事人】なのですが、必ずしも全ての願いを叶えられる訳ではないわけです。現実的に可能な願い事…例えば人探しや調査など。
叶えられる範囲のその願いを聞き入れて、実行にうつします。

依頼を受けた、四人の死を間近にした患者との交流から、浮かび上がってくる真実。

生きたくても生きられない。死にたいのにすぐには死ねない。
病院という特殊な環境から浮かび上がってくるのは…


主人公の、飄々とした感じが良いです。下手したら暗くて重い話になりがちなこの物語を、そうさせなかったのはこの主人公だったからこそでしょう。

個人的に、幼なじみの森野のツンデレ具合(いやツンデレじゃないか?)が可愛く、二人の今後も気になりました。