No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

図書館の殺人

イメージ 1
 
 
期末試験中のどこか落ち着かない、ざわついた雰囲気の風ヶ丘高校。試験勉強をしようと学校最寄りの風ヶ丘図書館に向かった袴田柚乃は、殺人事件捜査のアドバイザーとして、警察と一緒にいる裏染天馬と出会う。男子大学生が閉館後の図書館内で殺害された事件らしいけど、試験中にこんなことをしていていいの? 閉館後に、山田風太郎の『人間臨終図巻』で撲殺された被害者は、なんとなんと、二つの奇妙なダイイングメッセージを残していた……

青崎有吾さんの「裏染」シリーズ長編第三弾。
 
と思いきや、短編集で3冊目が出ていることを読み始めて知りました。
ただ長編の「水族館」「体育館」を読んだだけの私でもそんなに支障がなく入れましたので、問題ないかと思います。
 
ここ最近仕事もプライベートもどんよりとすることばかりが続いていたため、裏染のキャラクターと柚乃達のちょっと間の抜けた愛すべきキャラクター達に救われたような気持ちです。
暗い気分の時には何も考えずに本に没頭したいと思うので、それが叶えられる本だったなあとしみじみ。
 
今回は犯人の動機があまりしっくりこないというか、何故?!と思う真犯人だったが故にもやっとしたものの、登場人物が増えたとは思えないほど、一人一人が独立した個性を持つキャラクターになっているのが良かったですね。
文章の読みやすさ、登場人物達の漫才のような掛け合いが小気味よく、肝心の事件についても謎が謎を呼ぶ展開でのめり込む事ができました。
 
また、いつの間にか少しずつ裏染を意識し始めている柚乃と、何やら暗い過去を持っているっぽい裏染の話もちょくちょく入っていくるので、読者を飽きさせません。
 
まだ続きそうな終わり方だったので、今後の展開にも期待ですね。
 
しかしこんな殺され方・・・無念過ぎるわ。色々な意味で。
 
(ネタバレ含みます)
あと、結局あの小説を書いていた委員長と裏染の最後の掛け合い。
あれは書いていた小説の犯人が実際の犯人と同じだったから、という理解でいいのでしょうか。
すっと読んでしまうと一度では入ってこなくて、ちょっと考えてしまったもので。
 
(4.5点)