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ネメシスの使者

中山七里さんの本です。

渡瀬シリーズですが、あの岬先生のお父様、岬検事も登場し、渡瀬と岬メインの話といったところでしょうか。

とある殺人事件が発生し、その被害者が別の事件の犯人の家族だったことから、物語は動き始めます。

現場に残された「ネメシス」の意味は。
次も犯人家族が狙われる事件が起き、犯人の目的は何なのか。渡瀬と古手川が事件を追います。

温情判事と揶揄された裁判官が担当していた事件だったことはただの偶然なのか。
犯人の狙いは一体どこにあるのか。


古手川は好きなキャラクターですが、法医学の光﨑教授も名前だけは出て来て捜査に協力している様子。
また岬先生も父親目線のせいもあり、「不肖の息子」として話題には出てくるので、中山作品の面白さの一つである作品間のリンクも楽しめます。

犯人自体は意外とあっさりと捕まるのですが、そこは中山作品。
すんなりとは完結してくれません。

犯人の「真の目的」が明らかになった時、法のあり方とは・・・と考えさせられてしまいました。

仇討が許された江戸時代と、法により温情判決を受けた犯人が自分達の税金で贅沢はできぬとも、生きる事に困らない生活を送っている事実。
被害者家族のその後の悲惨さや家族の中に暗い影を落としていることがあまりにも大きすぎて、何とも物悲しい気持ちにさせられました。
(4点)