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手のひらの幻獣

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動物のイメージをあやつる異能力者の日野原柚月は、同じ能力を持つ者たちが所属する会社に勤めて早10年。孤独ながら安定した日々を送っていた。そんなある日、出来たばかりの新研究所を警備する業務を任される。しかしそこには異能力者のパワーを増幅する禁断の存在が隠されていて…。

三崎亜記さんの本です。
 
「動物園」「図書館」で登場した日野原柚月シリーズ?が一冊の本になりました。
「動物園」は手元に文庫があるんですが、「図書館」はおぼろげにしか覚えていないんですよね。
 
欲を言うならば、二つの短編を含めて一冊にまとめてほしかったかも。。
ちょいちょい過去の二編の話が絡んでくるので、もう一度読み返してからこの本を読みたかったなあと思ったり。
 
三崎さんの不思議な世界感は、さも実際に存在するかのような錯覚を覚えるほど、妙にリアル。
また、私は三崎さんの描く女性キャラクターがとても好き。
押しつけがましくなく、凛としていてちょっぴり可愛い面もあったりして。
 
そんな中で柚月のキャラクターもやはり私好みなんですが、読み始めて早々・・・社長に「奥さま」が!
 
実際の体の交わりではなく、能力同士の「交わり」のシーンの何と幻想的なことか。
社長との切ない微妙な関係がここで終わってしまったのか・・・と思っていたので、あのラストは嬉しかったです。
 
ただ、柚月と何だかいいムードになっていた高畑さんが何だかまた・・・報われない役回りで不憫(笑)
個人的には高畑さんの方が好きですけど、まあ社長と柚月の関係に進展があった(ネタバレになるのであまり言えませんが)ことは良かったと思って納得しましょう。
 
話的には中編なので結構壮大な戦い?のシーンが多かったり、国家を介入しての大きな事件みたいな話になっているので、前の短編に比べるとスケールが大きすぎてイメージが湧きにくかったという感想も多くみられました。
私的には結構入り込めた感じなので、これは好みの問題なんでしょうかね。
 
ラストの結果からすると、もう続編は書けないのかな?
それはそれでちょっと寂しい気がしますが、これもありかな。
(4点)