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海に沈んだ町

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数千人の人々を乗せて海を漂う“団地船”、永遠に朝が訪れない町、“生態保存”された最後のニュータウン…喪失、絶望、再生―もう一人の“私”が紡いでゆく、滑稽で哀しくて、少しだけ切ない九つの物語。『失われた町』『刻まれない明日』に連なる“町”を、気鋭の写真家との奇跡的なコラボレーションで描く連作短篇集。


三崎亜記さんの本です。
今回は写真家の白石ちえこさんとのコラボ。
短編の中に白黒の風景写真(とても味があります)が入っているので、すらすら読めちゃいます。
 
三崎さん、「コロヨシ!」以来なのでちょっと久しぶりです。
今回は得意の「町」シリーズ(?)です。
ちょっと不思議で、時に可愛らしい話だったり、ぞっとする話だったり、切ない話だったり。
 
短編なのでよく理解できないまま終わってしまうのが多かったのが個人的に残念。
三崎さんは、短編でもなく長編でもなく、中編向きな人だと私は思うんですよね。
 
本作の中では、
「四時八分」で切なくなって、
「彼の影」で可愛らしく微笑ましい気分になって、
「巣箱」でぞっとして、
ニュータウン」で切ないけど少しほっとしたような気分になりました。
 
三崎さんが描く「町」は、普段絶対私達が考えもしないような、常識を覆すような日常がごろごろ転がっている。
それをふざけてもなく、真面目過ぎる訳でもなく、あまりにもさらっと書いてしまうから、もしかしたらこの世の中にそんな世界があるのではないか?と思わせてくれるところが、私は好きなんですよね。
 
まあ、三崎さんの作品は選り好みがあるかもしれませんね、人によって。
 
個人的には中編を希望!
「コロヨシ!」の続編も早く読みたいな。