小説家・萱野千紘の前にあらわれた編集者・柴田は悪魔のような男だった―。過去に性的な傷をかかえる女性作家。胸苦しいほどの煩悶と、そこからの再生を見事に描いた傑作。
島本理生さんの本です。
あーこれ芥川賞候補作だったやつなんですね。
結局「火花」と羽田圭介さんが選ばれた訳だけれど・・・
うーん、ずっと好きな作家さんなだけに、芥川賞は取ってほしいけどこの作品でなくて良かったかなという気もあるかも。
羽田さんの作品は3作くらい読んで自分には合わないと思ったので芥川賞の作品は読んでいませんが、火花だけは読んでいて。そしてこれも自分好みでもなくそこまで印象に残らなかった、下手な訳ではないけれども、、、という微妙な感じなのですが、この作品もまさにそんな感じでしょうか。
いやむしろ・・・何を伝えたかったのか分からなかったし、嫌いな域に入る作品だったかも。。
島本さんの文章は凄く好みだし、好きな作家だから今までの作品もずっと追い続けてきました。
でも「大きな熊が来る前に、おやすみ」あたりから、DV男、性的トラウマ、翻弄するだけ翻弄して捨てるみたいなクソ男ばかり出てくるようになって、主人公の女性もろくな男と出会わない、男にだらしがないみたいなのばっかりになっていたように思います。
道尾さんの作品に幼少時の性的トラウマが続いたのと同じように(何作か続いて最近はなくなったけど)、流石にここまで似たような境遇を持った人物ばかりが続くと「またか・・・」と思ってしまいます。
芥川賞候補作という色眼鏡なしで読んでも、やっぱりこの作品で受賞しなくて良かったと思ってしまうかも。
こういうのが文学っていうんだろうけど、やっぱり芥川賞を選考している人達とは一生合わないなと思います。
だって何でこの作品で?って思う事があまりにも多すぎるから・・・。
そしてこの作品も、結局主人公は過去に受けた傷は本当のことなの?それとも自分の思いこみ?もしくは相手は父親?
母親との確執というか不仲の設定も続くし、相変わらず意図が掴めないような軽薄な男と、そんな男に何故惹かれるのか不明なだらしない主人公と・・・
島本さんの作品でなかったら読み切れなかったかもと思うくらいこれは好きではない感じでした。
最近はこの男の人は普通にいい人かも・・・と思っても何だか癖があったりするしな。
優しいタッチ、作風でも十分読ませる力がある島本さんだけに、最近は本当に好みとはずれてきてしまったなという悲しさで一杯です。
むしろここまでこういうのが続くと、島本さん自身に何かあったのかと本当に心配になってしまうこのごろです。
だけど読むのを辞める事ができないのは、やっぱり好きなんですよね。島本さんの文章が。
本自体はかなり薄いし、字も大きめなので1時間くらいで読み切れたものの、内容が内容だけに途中で投げ出したくなってしまうかもです。
自分的にはオススメしません。ごめんなさい。
(3点)