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ファーストラヴ

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夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。
彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。
環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは?

島本理生さんの直木賞受賞作です。

リトルバイリトルの頃からずっと読んでいる作家さんですが、今回は大分ミステリっぽい展開だったのでびっくり。

けれどやはり・・・またでてきた性的虐待・・・
DVもそうですが、なんだろう、ここ最近の島本作品の異常なほどのこのテーマが出てくる率よ!

ただ、またか、とげんなりする気持ちを差し引いても、今回はなかなか読ませてくれました。
元々文章が上手いし読みやすいというのはありますが、作品としてこの殺人犯が一体何が動機で父親を殺したのか、真実は何か?と気になる展開なので、ぐいぐい引き込まれました。

今回女目線の結構エグイ描写があったりして、それが辻村さんっぽいなと感じたのは、ミステリっぽい展開だったからというのもあるのでしょうかね。

個人的には初期の頃の瑞々しい作品や、安心してほっとできる優しい話が好みなので、こっちの路線でずっといくのだろうかと思うと残念ではあります。
とはいえ、島本さんの文章は好みなので文句を言いつつも今後も読んでいくと思います。
(4点)