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アンダスタンド・メイビー 下

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「どうか私だけの神様になって」ファインダーを通して見ていたのは誰の秘密なのか。デビュー10周年記念書き下ろし作品。


島本理生さんの本です。

上巻より下巻の方がすぐに手元にきましたね。
あまり間が空かないで読めて幸いでした。


あぁ…やっぱりこの展開だったか、とガッカリというか失望した部分はありました。
私が本を読んでいるだけでも嫌悪感を抱く、幼児への性的虐待
島本さん、特に親や近しい存在からの虐待を書いた作品はこれで何作目…?
ここ最近の作品でこれが続いていて、この部分だけは残念でなりません。

ただ、それを差し引いて考えたら、とても良い余韻が残る、印象的な作品でした。

黒江の脆さや弱さを受け入れてくれる、やよい君(漢字変換できなかった)。
何も言わずに普段通りに接する師匠。

下巻ではこの二人が軸になっているので、何で黒江はこんなに彼等を心配させたり傷つけたりするの!と憤る事もしばしば。
神様みたいなやよい君が、神様なんかじゃない、普通の男の子だったと気づいた黒江が、やよい君を拒絶する所は、もう何してんのー!と思ったり。

私はやはり、不仲な両親を見て育ちつつも、きちんと母からは愛情を持って育ててもらえたし、黒江みたいに辛い過去はない。
だから気持ちは理解できないし、セックスでしか人から存在を認められないから、体の関係なしでは男といられない、みたいなのは理解できない。

友人に、男がいないとやっていけない子がいたけれど、いくら私が力になる、支えてあげると言っても、彼氏以上の力には絶対になれなかった。
黒江を見て、その子をふいに思い出しました。


結末は、だけどきちんと前向きです。
黒江には絶対に失ってはならない二人の男性がいるんです。
そんな存在があるだけで、生きていけるんじゃないかな…
辛い過去は消えるものではないけれど。


今、私を手放しで好きだと言ってくれる存在がいる事に、どうしようもなく救われる思いでした。誰かに必要とされる事は、はかなくて、だけど力強い。

そんな大切な事に気づかせてくれる作品でした。

文句を言いつつ、島本さんはやっぱり大好きな作家ですからね!次作にも期待。
それにしても、やよい君良かったよ!大好きだなあ、こういう子(笑)

4.5