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家族シアター

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同じ中学校に通う姉は、「真面目な子」。褒め言葉のようだけど、実際は「イケてない」ことの裏返し。
こんな風には絶対になりたくない――だけど、気にせずにはいられなかった。 (「妹」という祝福)

息子が小学校六年生になった年、父親中心の保護者会「親父会」に入った、大学准教授の私。熱心な担任教師に恵まれて、順調に思われた日々の裏には、とんでもない秘密が隠されていて……? (タイムカプセルの八年)

すべての「わが家」に事件あり。ややこしくも愛おしい家族の物語、全七編!

辻村深月さんの本です。
 
長編かと思っていたら、アンソロジーなどで収録されていた作品を集めた短編集でした。
 
7編中4編が既読の作品でしたが、再読してもやっぱりいいものはいいです。
最後の「タマシイム・マシンの永遠」はPen+の藤子先生特集号に掲載されたもので(購入したんですけど)、ドラえもんの道具がモチーフになった作品であり、何度読んでも素敵過ぎます。
 
また、「タイムカプセルの八年」も男親と息子という構図が何かくすぐったいというか、甘酸っぱいというか、この何とも言えないむずむずした感じが溜まりません。
 
個人的には書き下ろしの「孫と誕生会」が一番かな。
おじいちゃんおばあちゃんに物凄い可愛がられる、という経験をしたことがないので、叱る時はちゃんと叱ってくれるけれど、自分の孫にはやっぱり特別扱いをしてくれるこのおじいちゃんが凄く素敵でした。
小学生の「誕生会」とか・・・・微妙なプレゼントを買ってしまうと、いらないとプレゼント交換で突き返されるのとか、自分じゃないですが兄に持参させるプレゼントとして母が用意したものが、実際嫌だと突き返された事を聞いた事があるので、辻村さんはつくづく凄いなあと思ってしまいましたね。
 
また、私も妹と年子ということもあって、年子特有の気まずいシーン(学校内でお互いの姿を見かけてしまったり、同級生からいちいち「妹がいた」とか云々言われていたり、うっかり妹の評判を聞いてしまうとか)年子の姉妹あるあるがふんだんに盛り込まれていて、妙に納得しながら読めるところも凄いなあと思ったりしました。
 
そして全て読み終えて思うのは、「家族っていいなあ」(和風総本家のナレーション風)ということ。
 
辻村さんと言えば、女同士のドロドロを描いたら右に出るものはいない作家でもありますが(笑)、それと同時にほっこりとした気分にさせてくれるこんな温かい話も書ける作家でした。
 
また、いい意味でオタクな辻村さんなので、アイドル、ビジュアル系、アニメ、などなど物凄い詳しく書かれているのもまた面白いです。
 
これはまた読みたい作品です。
文庫化したらぜひ手元に置きたいと思います。
(4.5点)