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何者(文庫版)

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就職活動を目前に控えた拓人は、同居人・光太郎の引退ライブに足を運んだ。光太郎と別れた瑞月も来ると知っていたから――。瑞月の留学仲間・理香が拓人たちと同じアパートに住んでいるとわかり、理香と同棲中の隆良を交えた5人は就活対策として集まるようになる。だが、SNSや面接で発する言葉の奥に見え隠れする、本音や自意識が、彼らの関係を次第に変えて……。

朝井リョウさんの本です。
 
ハードカバー版で読んだ時の衝撃。
文庫が出たら買おうと思っていて、とうとう発売されましたね。早速購入し、再読しました。
 
シューカツの経験はないですが、転職活動ならば何度も経験しているので、なかなか内定を取れないあの焦燥感を思い出しました。
 
ただ、転職活動は普通のシューカツと違って、自分の意思で別の仕事を見つけるという活動であり、いうなれば自分が選んだ道な訳です。
しかし就職活動というのは半ば強制的にやらなければならないものであり、本意ではないけど・・・的な感じのものだと思うんですよ。
 
そんな中、大学生というのは周りに同じ就職活動をしている仲間や友人知人が周りにいて、しかもその人は内定を取ってるのに・・・という焦りも湧いてくるではないですか。
 
そんなあたりの複雑な感情を、SNSという現在のツールを使って、朝井さんは嫌と言うほど感情をえぐってきますね。
 
ある意味男版の辻村深月さんか、というほどえぐられるこの痛み。
 
しかもずっと上から目線で周囲の人間とは違うと自負していたかのように見えた主人公の本当の姿が露呈してくるあのラスト!
痛いです。痛すぎます。
 
稚拙な感想しか書けないのが本当にもどかしいけど、この作品が直木賞で私は納得できました。
 
ほんと只者ではないです、朝井さん。
(5点)