No-music.No-life

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何様

 
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光太郎が出版社に入りたかったのはなぜなのか。
理香と隆良はどんなふうに出会って暮らし始めたのか。
瑞月の両親には何があったのか。拓人を落とした面接官の今は。
立場の違うそれぞれの人物が織り成す、`就活'の枠を超えた人生の現実。
直木賞受賞作『何者』から3年。いま、朝井リョウのまなざしの先に見えているものは――。 
 


ああ・・・結構な長文感想を書いた後で落ちた・・・・ショック。

 
朝井リョウさんの本です。
「何者」のアナザーストーリーということで、書店で見かけてからずっと気になっていた本でした。
 
「水曜日の南階段はきれい」「それでは二人組を作ってください」はアンソロジーで既に読んでいましたが、「何者」に繋がっているとは気付きませんでした!
 
「水曜日の~」で、本編で光太郎が何故出版社を志望していたのか、忘れられない人とは・・・?という疑問が、ここで全て解決した訳ですね。
いやちょっと、この繋がりには感動すら覚えました。
そして何と爽やかで、胸キュンで切ない物語だこと・・・!
 
「それでは~」は理香と隆良の話。
なんでしょう、このいやぁな読後感。えぐりますよね。最近の朝井さん、この感じが得意ですよねえ。
そしてこの読後感も嫌いじゃないっていう。
 
個人的に一番は、サワ先輩の話!
どんだけいい男なんだよー!というくらい、サワ先輩が最高過ぎる話です。
 
最後の話だけどう繋がっているのか分からなかったのですが、拓人を面接した面接官の話でした。
 
結局、拓人の話だけがなくて(瑞月も直接は出てきていないけど、間接的に話が繋がっていてまた上手いんですが)、あの後どうなったんだろうとか色々気にはなりますが・・・

朝井さんの何が凄いって。
 
今時の若者を描きつつ、爽やかな読後感を残す物語を書いたり、えぐるようなひりひりとした痛みを伴うような現実を書いたりできるところ。
 
人気者とそうでないもの、陰と陽、両方のことをこれだけ的確に描ける作者って、なかなかいないと思うんですよね。
 
そしてさりげない描写なんですけど、会社のPCのパスワード変更の画面やパスワードを順番に使い回す、というようなこと、あるある!と思う社会人の描写もセンスが光っているなと感心してしまうのでした。
 
やっぱりいいですね、朝井さん!
(4.5点)