No-music.No-life

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まぼろし

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「こんなはずじゃなかった」が母の口癖だった。記憶の中の母は、怒ってばかりだった。そして、私が高校三年のときに父と母は別れた。それから母とはもう、八年近く会っていない。なのに、なぜ今になって戻りたいなんて―。逃れることのできない母娘の確執を描く表題作他、会社を辞めて実家に戻った私が高校生の妹と過ごすあてどない時を描く「十八階ビジョン」を収録。

生田紗代さんの本です。
 
やっぱり生田さん、好き。
とても自分好みの作家さんです。
 
特に何かがある訳ではない、本当にただの日常を描いているだけなんですよね。
けれど、「十八階ビジョン」の主人公が、会社を辞めるきっかけになったなんてことないこと(寝坊して、電車にも乗り過ごして目の前で電車の扉が閉まってしまったというような、本当に些細な事)の描写。
 
生々しくて、なんて現実にありそうなんだろう、と。
 
多分もし自分が会社を辞めたい、とふと思う時もこういうなんてことのない事がきっかけになるんじゃないか・・・とはっとさせられました。
 
まだ読んでいない生田さんの本があるので、また図書館で借りてきました。
やっぱり好きだなあ、うん。いい。
(4点)