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長い腕

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ゲーム製作会社に勤務する主人公は音楽と読書、そして孤独を愛する女性。現在の仕事に大きな不満はないが、同じ場所に居続けることを好まないため、会社を辞めしばらく故郷・愛媛県の小さな町に帰省しようとしている。ところが同僚の変死事件と、故郷の町で起きた女子中学生による殺人事件とに共通のキーワード「ケイジロウ」を発見し、調査を始めることに…。


川崎草志さんの本です。

「新人作家の登竜門たる、第21回横溝正史ミステリ大賞を受賞した話題作」だそうです。
 
最初に言っておきます。
期待しておいて損はないです。
 
それにしても、この作品を読もうと思ったきっかけは何だったかなあ。
書店でお薦めされていたのか、新聞の書評か広告で見たのだったか・・・。
図書館で予約していたものがようやく届き、誰の本だったっけ。何で予約したんだっけ?とうろ覚えの中で読み始めたのですが・・・
 
もう冒頭から、違っていました!
冒頭の江戸時代の描写、現代のとある事件、地方の女子中学生の謎の死、職場の同僚の死――
全く関係ないと思われた事件や事故が、少しずつリンクし始めていくこの感覚。
 
何が起こるか分からない得体のしれない怖さ。
奇妙な二つの事件に関連性を見出し、調査に乗り出した島汐路。
主人公・汐路にも両親を失った過去があり、その真相は「事故」とされているが、実は違う。両親に不信感を抱きながら生きてきた。
汐路の両親が亡くなった真相、二つの全く異なる事件の意外な共通点、それを操っていた人物が明らかになっていく後半に向かうにつれ、味方だと思っていた人までも怪しく思えてくる怒涛の展開にページをめくる手が止まりませんでした。
 
何が一番良かったかというと、男性作家が描く女性なのに、このキャラがまた非常に良いんです。
男に媚びない、男勝りというべきか、怖いもの知らずというべきか。
果敢で、大胆で、男らしくて勇敢。
裏表がない性格、何事にも物おじせずに事件の真相に迫って行く汐路と、それをサポートしてくれる職場の元同僚の男性。
結局このサポートが汐路に対する好意だったのか、は明らかにされないのですが、敵だか味方だか分からなくなる後半の展開にはドキドキ。
まあ、結局は安心して読み終えられた訳ですが。
 
いやー久々に最初から最後まで面白く読めた気がします。
文章も癖がなくて読みやすい。
大満足でした!