No-music.No-life

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春のソナタ

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聡明で、魅力的な表情の女性だ―十七歳の直樹が年上の早苗に抱いた第一印象である。高校生のバイオリニストの直樹は、音楽を愛しながらも、ピアニストの父と同じ道を進むことをためらう。そんなある時、美貌の早苗に出会った。その時から彼の生活に明らかな変化が起きる。高校生の愛と自立、人生の試練を流麗に描く青春小説。

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三田誠広さんの本です。

いちご同盟が純愛・中学編と銘打たれていたのですが、今回は純愛・高校編らしいです。

そのせいか、すんなりと読むことが出来ましたし結構好きです。


三田さんの描く世界は、何処か第三者的な印象を受ける。
主人公が、自分のことを遠めに眺めているような、というより読み手の私と一緒に物事を捉えているような感覚なのだ。

漂っているのは、少し冷めた空気と切なさ?ううん、何て表現するべきだろう。
悲壮感、違う。

寂しいような、けれども冷たいわけでもなくて。

そんな言葉で表せないような世界を描くのが上手い。
そして、そんな世界観に好感を持てるのだ。

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いちご同盟では、ピアノを弾く主人公だったけれど、今回はバイオリン。

演奏家の父、父とは14も歳の離れた母、母は父を溺愛し父が自分から心が離れていくのではないかと疑心暗鬼になっている。

そんな両親の息子である17歳の直樹は、音楽の道に進みたいとは思っていない。
けれどもバイオリンを弾く事は辞めない。

幼馴染の真衣との微妙な距離。

ひょんなことから知り合った、美しいが高飛車で傲慢な早苗。
早苗のファンだという音楽に携わる男たち。


早苗と男たちと時々集まってパーティーが開かれ、演奏をしたり。
学校生活ではコーラス部の伴奏を手伝ったり、柔道部の助っ人として試合に出たり。
家では酒に溺れる父と、精神的に参ってしまった母と。

将来のことを薄ぼんやりと考えながら、直樹は・・

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結局父と早苗の関係がはっきりとは示されないままあの結末だったのですが、直樹は一体どんな道に進んで行くのだろうと思います。

なかなか良い話でしたよ。ぜひ。