No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

キング誕生 池袋ウエストゲートパーク青春篇

イメージ 1
 
誰にだって忘れられない夏の一日があるよな―。高校時代のタカシには、たったひとりの兄タケルがいた。スナイパーのような鋭く正確な拳をもつタケルは、みなからボスと慕われ、戦国状態だった池袋をまとめていく。だが、そんな兄を悲劇が襲う。タカシが仇を討ち、氷のキングになるまでの特別書き下ろし長編。


石田衣良さんの「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ番外編。
 
キングがいかにして氷の王様になったのか、という話。
・・・なのですが、どうにもあっさりとし過ぎていた感が否めません。
 
勿論、あのクールで冗談が冗談に聞こえないくらい常に冷静沈着なタカシが、高校時代、本当に「少年」という顔を持っていた時もあったのだな、という所を見られたのはタカシファンではなくとも嬉しい所なのですがね。
 
ユーザーレビューで指摘されている通り、ほぼ自分と同じ世代のはずの人間の高校時代にしては、その当時にそんな言葉やものはあったか?と思われる描写が多々。
 
また、過去作品とリンクしていない部分がかなりある様子。(前に読んでるから覚えていないです・・・)
 
(ネタバレですが)
それに何より、身内を殺された人間が、ここまで冷静でいられるのか?
人を殺さない解決方法ではあったけど、あっさりと終わり過ぎて拍子抜けしてしまいました。
 
また、「いかにして」というほどキングになるまでの過程は書かれていない印象です。
 
このシリーズのファンとして、キングが唯一信頼し気を許す相手であるマコトとの貴重な高校時代を知ることができたのは楽しかったので、つまらない、という訳ではないのですが・・・・
 
IWGPシリーズで感じていた「疾走感」や「ワクワク感」が最近の作品には少し欠けて来てしまったような気がしてしまいました。
 
あと、サルファンの私としては、サルが出てこなかったのも結構不満です(笑)。
 
解説は我らが辻村深月さん。
私も辻村さんと同じで、友達が面白いよ、と薦めてくれて読み始めたタイプ(ドラマも流行っていたし、原作も話題になっていたが、例のごとく流行りものを敬遠していた)なので、IWGPがいかに面白くて引きつけられる話か、という愛が十二分に伝わってくる解説は読んでいて嬉しくなりました。
 
文句は沢山言いましたが、やはり好きなシリーズには変わりません。
今後も読み続けていきたいですね。
(3.5点)