No-music.No-life

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波形の声

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小学校四年生の中尾文吾が自宅で襲われた。補助教員の谷村梢は文吾から、スーパーで教師の万引きを目撃したと聞いていた。だが襲われる直前、梢の名前を呼ぶ声を近所の人が聞いていたという。疑惑の目を向けられた梢は……。


長岡弘樹さんの本です。
 
「傍聞き」「教場」で最近注目されている長岡さんです。
何冊か読んで来て、日常ミステリの中に潜む少しの希望みたいなものと、はたまた救いのないラストが入り混じっていてとても印象的な作品が多い印象です。
 
今回は何かしら警察に関わる人間の短編集かしら?と思ったら、音にまつわるものだったのですね。
そうか、なるほど(笑)
 
身内や関係者に警察が多すぎやしないかしら?と思いつつ、表題作の「波形の声」が一番面白かったな。
去って行く臨時教員に向けて、児童が残そうとしたメッセージと、そこに起こったある事件。
事件の犯人はすぐに察しがついたけれど、児童の気持ちが何とも切ないような気持ちになります。
 
後半に向けてやや失速感はあったものの、短編なので読みやすく楽しめました。
でも、読書メーターの感想を見るとあまり評判が良くないのでしょうかね?
(4点)
 
【収録作品】
「波形の声」「準備室」「蚊」「黒白の暦」「ハガニアの霧」「宿敵」「わけありの街」