No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

MEMORY

イメージ 1
 
葬儀店のひとり娘に産まれた森野、そして文房具店の息子である神田。同じ商店街で幼馴染みとしてふたりは育った。中学三年のとき、森野が教師に怪我を負わせて学校に来なくなった。事件の真相はどうだったのか。ふたりと関わった人たちの眼差しを通じて、次第に明らかになる。ふたりの間に流れた時間、共有した想い出、すれ違った思い…。大切な記憶と素敵な未来を優しく包みこんだ珠玉の連作集。


本多孝好さんの「MONENT」「WILL」に続くシリーズ第三弾。
 
私、本多さんの作品が好きなのですが、どうしてもこのシリーズだけはいまいち楽しめずにいたんです。
どんなものだろうかと読んでみましたが、結果的に三作の中で一番好きかもしれません。
 
森野と神田のいじらしいほどつかず離れずの距離感。
前作で少し距離が近づいたかな、と思わせてなかなか寄り添おうとしない二人にやきもきしていましたが、二人の周囲にいる人間から見た視点で語られる短編集になっていて、森野と神田の関係性などがよりはっきりと見えてきます。
 
アネゴの話と、物語の核となっている看護師の最後の話がきゅうっと胸が苦しくなって、でも好きだなあと思いました。
最後の最後、森野と神田のその後が少しだけ描かれています。
こういうさりげない幸せ、なんだか嬉しくて切なくって、ほうっとため息をついてしまいそうでした。
 
このシリーズもこれで最後かな?
(4点)