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WILL

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本多孝好さんの本です。

MOMENTのスピンオフというか、続編となる本作。

本多さんを友達からお薦めされて、読み始めてから制覇したと思っていたのですが、何故かMOMENTだけ未読だったことに気付いたのです。
なので、後になって読んだのですが、それなりには良いけど、そこまで思い入れもなかったんですよね。

森野というと、どうしても乙一さんの「GOTH」の森野のイメージが強くて、どうもいけない(笑)

でも、こっちの森野は、女だという認識がなかったら男が話しているみたいなぶっきらぼうな話し方をする女子高生でした。

そんな森野の両親が亡くなり、実家の葬儀屋を継いで社長になり、時を経て29歳になったという設定で話は始まります。

MOMENTで主人公だった神田(既にこの名前すら覚えていなかった!ヤバいね私!)は、順風満帆な生活を送っている。現在アメリカに暮らしている神田とは、幼馴染以上の関係になったが、森野はその先に進めずにいる。
ずっと待ち続けてくれている神田からは、時折電話がかかってくる程度の関係を続けながら、自分が一体どうしたいのかを考えあぐねている風の森野の現在。

葬儀屋の社長として、新たに従業員を雇ったり、元同級生の父親の葬儀を執り行ったり、死んだ人間が現れた、とか、死んだ人間の生まれ変わりの人間が訪ねてくる、とか。葬式をもう一度やり直して欲しい、だとか、様々な依頼やら相談が舞い込んでくる。

1章1章ごとに、森野が成長していく(と言ったらおかしいかな?)過程が見えるのと、葬儀屋という特別な立場にいる人間から見た、人が死ぬということやら何やらが、何だか厳粛なんだけど、本当はそんなに特別な事ではないのかもしれない・・・なんてよく分からない事を思ったりしました。


一つ一つのエピソードも、ちゃんとどんでん返しや意外な真相があって、本多さんやるなあと感心しながら読めたのも良いですし、新入社員として雇った桑田の演歌を歌う和バンド(笑)が、何故ブレイクしないのかと思うし(かなり彼はいいキャラしてます)、そして何より、人前で弱さや涙を見せないクールな森野がよりどころとしている人間が誰あろう神田であって、そしてその神田はもうずっと長い間森野を受け入れる準備は出来ていて――

ラストの「未来を迎えにきた」という神田一言でもう乙女心をわし掴まれました。

最後に明かされる森野の下の名前。
それを知らされた読者は、神田のその一言に更にぐっときてしまうでしょう。

どうかどうか、二人が幸せになれますように。


どうでもいいけど、普段弱さを見せない強がりな女の子が、好きな男の子の前でだけ弱さを見せるのって凄く可愛いですね。
関係ないですが、森野にキュンキュンしちゃいました。

そういう意味で、とても良い読後感を残してくれました。

本多さん、最近かなり良い作品ばかり書いてくれます!