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Good old boys

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市内屈指の弱さを誇る少年サッカーチーム「牧原スワンズ」。
中でも四年生のチームは突出して弱く、公式戦では一勝はおろか、まだ一点も取れていない。
穏やかな監督のもとで、勝てなくても子どもたちは楽しそうにボールを蹴っているが、 一方、チームの活動を手伝う父親たちは、それぞれに悩みを抱えていた。
ふとしたことがきっかけで、妻とすれ違い続ける夫。 子どもができたために、サッカー選手になる夢を諦めた男。
優秀だった息子が、ある日とつぜん引きこもってしまった父親。 皆いろいろなものを背負い、迷い悩みながらも、子どもたちのために今日もグラウンドに足を運ぶのだった。 やがてチームは、今年最後の公式戦となる市大会に挑むが……。

本多孝好さんの本です。
 
染みましたね。。
なんだろ、とても良かったですよ。久々に。
 
私はスポーツに全く興味がなくて、特にサッカーには関心が全くないのです。
フットサルが流行っていたり、ワールドカップで盛り上がっている世の中なんてどこ吹く風、全く見る事もないし興味がない訳です。
 
この物語は、あるサッカーチームに所属する小学4年生の子供を持つ8人のそれぞれの父親が語り手になっています。
 
やばいサッカーの話か!と気付いた私は話に入り込めるだろうかと不安になったんですが、子供もいない、夫もいない、父親とスポーツをしたことなどない私でも十分に堪能できる小説でした。
 
それどころか、この父親の哀愁、子供達の頑張りに何だか泣けてきそうになって、とにかく染みました。
 
小学四年生。
低学年ほど子供ではない、けれど自立できるほど大人ではない微妙な年頃。
8人が8人共、決して順調ではない家族だっている。
けれどその問題に向き合って再生していこうとする家族の姿は自然と受け入れられている自分がいました。
 
ある能力を持っているという美少女のお父さんの話は、別口でも書けそうな設定で気になりました。
 
個人的にはトラックの運転手のお父さんと義理の息子との距離感が好きでしたね、こんな風に実子も義理の子供も分け隔てなく愛せる親って素敵です。
 
父親にはいい思い出がないせいか、羨ましくもなったりして。
 
本多さんの書く女性はとても好みなんだけど、脇役として出てくる奥さん、子供のお母さんの強さやたくましさも素敵でした。
 
これは文庫化したら欲しいです。良かったわー。
 
(5点)