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真夜中の五分前 ― side-B ― (文庫版)

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かすみとの偶然の出会いは、過去の恋に縛られていた僕の人生を大きく動かした。あれから二年、転職した僕の前にひとりの男が訪ねてきた。そして、かすみとその妹ゆかりを思い出させずにはおかぬこの男が、信じられない話を切り出した。物語は、驚愕のエンディングが待つside‐Bへ。今日と明日をつなぐ五分間の隙間を破り、魂震わす極限の愛が生まれる。




本多孝好さんの本です。

さて、読み終えました。
うーん・・・やっぱり、どうしても納得がいかないんです。

ゆかり(あるいはかすみ)が取った行動が。


<ネタバレありなので、未読の方は注意>

一卵性双生児ということで、自分とまったく同じ姿かたちをした人間が世界にもう1人存在しているという事実は、彼女たちを生んだ母親や、周囲の人間、しまいには本人達にすら、どちらが「かすみ」で、どちらが「ゆかり」なのかを判断することが出来ない。

その状況で、あの出来ごとが起こったゆかり(あるいはかすみ)は、だから主人公に自分は一体どっちなんだと、どっちであってほしいのかと選択させようとしたのでしょうか。

けれど・・・あまりにも身勝手じゃないかと思ってしまう。

尾崎との関係を、案外あっさりと手放して、結局主人公の事も尾崎の事も選ばないというあの結末は・・・

あまりにも、あれだけ振り回され、記憶に刻みつけておいて、それはあまりにも身勝手ではないか?と思ってしまうのです。

でももし、主人公が「かすみ」であると彼女を選んでいたら――

考えても、主人公にとって良い事なのかは分からないのです。


ただ、大学時代に付き合っていた彼女との永遠の別れを受け止めることが出来たという事実だけが、私をほっとさせます。

この世界観、読後の余韻は嫌いではないのですが・・・
やっぱり本多さんの作品の中ではあまり好きになれない話なんですよね。。

共感出来ないからなのかもしれません。


ところで。
本多さん、10月に待望の新刊が出るようですね!
かねがね予定されていた、「MOMENT」の続編というか、サイドストーリーというか、姉妹編らしいです。

最近の本多さんの作品(「チェーン・ポイズン」がとても良かったので!)、とても好きです。
楽しみだなあ。