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ストーリー・セラー

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このままずっと小説を書き続けるか、あるいは……。小説家と、彼女を支える夫を突然襲った、あまりにも過酷な運命。極限の選択を求められた彼女は、今まで最高の読者でいてくれた夫のために、物語を紡ぎ続けた――。「Story Seller」に発表された一編に、単行本のために書き下ろされた新たな一篇を加えて贈る完全版!


有川浩さんの本です。
 
初めてこの作品を読んだ時、ベタ甘路線と重い話が混在していて、色々な意味でとても記憶に残ったのを覚えています。
今回「Story Seller」に収録された一編に、Side-Bということでもう一篇が加わり単行本化されたということで、とても期待して読みました。
 
 
読み終えて思ったのは・・・・・・
 
このSide-AとBの話が、小説家である彼女の創作した物語だったら良いのに、という希望でした。
 
Side-Aを読んだ後にBを読むと、Aの彼女が生前に書き下ろした作品、といった風に読めます。
けれどもこれはふとしたら、文中の中にもあるように、作家の彼女が死んでしまう話と作家の彼女の旦那が死んでしまう話を対にしたらバランスが良いのでは?という訳で、これはどちらも本当の彼女と彼の話ではなく、彼女の小説の一部として書かれたものなのではないか?と思えてくる訳です。
 
また、Bから読み進めると、実際は彼女が生き残ったのでは?とも思えてきて。
 
そういった意味で、本多孝好さんの「真夜中の五分前」のSide-AとBのように、または乾くるみさんの「イニシエーション・ラブ」のように、読み始めの作品がどちらになるかで、大きく捉え方や感じ方が変わってくる話だと思いました。
 
こんな風に、お互いを信頼し、甘えられる関係になれたら幸せですよね。しかも結婚しても変わらずお互いを大好きでいられるって、きっと実際には難しいから。
 
あー何だか読んだ後の喪失感、っていうのではないけど、ぽっかりと穴が空いたような感じは久しぶりかも。
有川さんの最近の作品は、べた甘+重め展開のものが多くて、これが結構私は好きなのです。