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七瀬ふたたび

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人の心を読むことができるため、能力者を狩る暗黒組織に追われる毎日を送る七瀬。能力者の絶滅をもくろむ組織の魔の手が迫ってくる中、七瀬と仲間の能力者たちは次第に追い詰められていた。そんな折、七瀬がひそかに愛していた予知能力者の岩淵了も、悲しい愛のメッセージを残して組織の凶弾に倒れてしまう――


監督:小中和哉
原作:筒井康隆「七瀬ふたたび」「家族八景
主題歌:School food punishment【flashback trip syndrome】


という訳で、こっちに来るの遅すぎだろ!ということで、先週土曜日にようやく公開が始まったので、朝一の回で観てまいりました。
 
ユーザーレビューを見ると物凄く評価が低い&酷評の嵐だったのでとても期待しないで観に行きました。
むしろ、主題歌を聞きに行くためと言っても過言ではないくらい(と言ったら大げさですが)。
 
本作は筒井康隆氏の作家生活50周年を記念して作られた初の映画化なのだそうです。
ドラマ化はもう4回もされているようですが、映画化は今回が初だったそうな。
 
ちなみにこの前NHKで放送されていたドラマ版はかなり設定が異なっていたので、最終話に行くにつれてどんどんつまらなくなっていったという感じでしたが、本作はいや、なかなか原作に忠実で良かったのではないかと。
 
 
他人の心が読める特殊能力を持った七瀬は、美しく綺麗な若い女性という要素が更にマイナスになって常に世間の男性から卑猥な妄想をされ続けている(まあ、女性というだけで或る程度は誰でもあるのだろうが)。
幼少の頃、力に目覚めた七瀬は常に人の心に踏み込む(心を読む)事で他人と接するようになっていた。
 
同じテレパスの能力を持つノリオ、念動力を持つヘンリー、未来予知能力を持つ了、タイムトラベラーのフジコと能力者が集まり疑似家族として生活をするが、能力者狩りの組織に追われ――
 
 
と言ったような内容なのですが、そうそう。
ドラマ版だとこの卑猥な妄想にさらされる、であるとかそういった部分は割愛されているわけで。
今回は原作により忠実にそういったシーンが多く盛り込まれていました。
 
いやー・・・これは結構きついですよね。
男性不審になりそうだ。
 
まあそれはどうでもいいとして、同じ能力者としてお互い好意を抱いている了と七瀬の恋があまりにも切なすぎた。
 
七瀬がテレパスだと知らずに心の中を読まれてしまったという羞恥心から会いたいけれど七瀬に会う事ができない了。
了が見た未来に、七瀬と一緒にいる自分の姿はない――そして、予知した未来は必ず実現してきたのだ――。
 
了を演じる田中圭が・・・出番が少なかったのですが、かなりかなり良い味を出していました。
好きな子に近づきたい、でも自分が思っている見せたくない心の内を知られているという葛藤。
会いたい、でも会えない。
そうしている間に、能力者狩りの手に捕まり・・・
 
 
キャスティングも、今までのドラマ版に比べてより原作に忠実だったと思います。
でも、芦名星は綺麗過ぎるなあ。
 
そして森の中を走ったりしなくちゃいけないのに、丈の長いコートやらブーツやら。
動きづらくないのかしら?とそっちが気になってしまったり。
 
ユーザーレビューで酷評されていたCG等も、私は意外と気になりませんでした。
非現実な能力を使うシーンなので、大げさなくらいでちょうど良い感じがして、これはこれでありかなあと。
 
ただ、この映画は原作を読んでいないと何が何だか分からないのではないか?とふと思いました。
原作が好きな母と一緒に観に行ったのですが、原作を分かっているからこそ呑み込める映画であって、基本的にかなりのエピソードが割愛されている感じだったんですよね。
 
他の能力者と出会うきっかけになったエピソードや、敵対する能力者との戦いであるとか。
内容を知らない人が見ても全く分からないのではないだろうか・・・。
 
平泉成が演じる刑事も何だか中途半端な役回り。
 
個人的には思っていたより悪くはなかったのだけど、うーん、でも内容が飛びすぎちゃってる感じかなあ。
能力者と能力者狩りの戦い、がメインな感じだったので。


全編に使われる音楽が効果的でした。
エンディングには、我らが(笑)School food punishmentの音楽が流れ、プロデュースしている江口亮さんの名前も載っていたりと嬉しい部分も。
 
この映画の七瀬には未来が示され、そのエンディングには少しだけ救われた思いでした。
 
だけど能力者だって同じ人間。
どうしてこんな風に虐げられなければいけないのだろう。
全編漂う悲壮感が見ている側に何とも言えないもの悲しさを誘いました。