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白夜行

昭和55年、質屋の店主が殺されるという事件が起きるが、結局被疑者死亡のまま解決。だが、当時の担当刑事笹垣は、何か腑に落ちないものを感じていた。数年後、事件の殺人犯と目されていたがガス中毒死した女の娘雪穂は美しく成長し、一方質屋店主の息子亮司も事件後は家を出ており……。


原作:東野圭吾白夜行
監督:深川栄洋


149分の長い映画。イメージ 1
それでも、あの原作を映像化しようとしたら長くなるのは致し方ないのでしょう。
 
今日は仕事が休みだったのですが、ファーストデイで千円で見る事が出来たのはラッキーでした。
 
綾瀬はるか×山田孝之でドラマ化した時はリアルタイムでは見ていませんでした。
ドラマが終わり、結構経った後に読んだ東野圭吾さんの原作にすっかり魅了され、その後再放送されたドラマ版を見て、原作から脚色された話であったにも関わらず、奇跡のキャスティングと完成度の高さにすっかりはまってしまった私でした。
 
視聴率こそ振るわなかったものの、評価の高かったドラマ。
そのドラマを差し置いて、何故ここにきて映画化?
堀北真希×高良健吾のキャスティングにも何となく違和感があり、はっきり言ってしまえば期待度は低かったです。
それでも原作は好きなので、興味本位と言ったら失礼ですけど、観にいった訳です。


結論から言ってしまえば、堀北版の白夜行、個人的にはありでした。
2時間ドラマの帝王の船越栄一郎は、ドラマ版で執拗に事件の真相を追い求める刑事を演じた武田鉄也とは違った、追いつめるというよりは追いかけて見守るような、悪く言えば地味だけれど、決して犯人たちを陥れようとはしていない刑事を見事に演じていました。
 
見る人によってはダメっていう人もいるかもしれませんが、ドラマ版の刑事は濃過ぎる感じもあったので、これくらいの方が主張し過ぎなくて良いのかも。
 
そして肝心の堀北真希です。
 
ドラマ版の雪穂を演じた綾瀬はるかは、綺麗で胸も大きくてスタイルが良いので、妖艶な役がとても上手くて似合っていましたが、堀北真希はいかんせん細すぎる――雪穂のイメージではないなあと。
 
そんな事を思いながら映画を見た訳ですが、映画の宣伝CMで流れている綺麗な背中を露にするシーンがあるように、なかなかどうして、妖艶な悪女を見事に演じていました。
 
期待されるような脱ぐシーンや、ベッドシーンはありません。
それでも本心を隠した微笑みを浮かべる雪穂は、ミステリアスでそして本心では一体何を考えているのか分からない怖さがあります。それを主張し過ぎないのに絶大な存在感を持って演じています。
 
亮二を演じた高良健吾は・・・可もなく不可もなく、ですかね。
個人的に苦手な顔をしているせいなのか、今まで何度も出演してきた映画を見てきたけれど、どうもいつもしっくりこなかったり。
それと、映画版の亮二は大人になってからの姿があまり描写されていない気がして、何となく掴みどころがなかったような。
 
どちらかと言うと、幼少時を演じている今井君(七瀬ふたたびに続いて、また難しい役です)の存在感が凄かった。やっぱりこの子は演技が上手いですね。
 
「あの事件」の前と後で、心から笑顔を見せるシーンとの対比がとにかく痛かったです。


雪穂が幼い頃大人から受けてきた仕打ち。
おぞましく、やりきれなく、とにかく目を背けたくなるような残酷な運命から逃れる事ができなかったこと。
 
だけどそれが、人を陥れたり、殺したりして良い理由にはならない。
そう。分かっているのに、それでも影からその存在を支えながら、太陽の光を与えられながら生きていきながら――。
決してお互いが交わることはない。
それでも、いつも彼らは一緒に生きてきたのだ。
 
もし、あの時。
彼らが普通に出会って、生きていくことができていたのなら・・・
 
ラストのシーンが終わっても、やりきれなさとどうしようもない焦燥感が抜けなかった。
こんな仕打ちを受ける子どもたちは、あってはならないと思う。本当に。


イメージ 2という訳で、長くて観ているのは大変でしたが、原作を読んでいる人にとってはかなり原作に忠実に、丁寧に描かれているのでなかなか楽しめるのではないでしょうか。
 
ただ、ドラマ版を見ている人、そしてドラマ版が大好きな人には結構違和感があるかもしれませんね。
最初に結末が描かれるドラマ版を見ちゃうと、なかなか真相が空かされない映画版は冗長に感じられるかも。
 
映画版は昭和の時代設定も忠実なので、変に有名な出演者を使い過ぎていなくて、そういうシーンの一つ一つの小道具に始まり、とても忠実で丁寧に作りこまれているところに好感を持ちました。
 
ちなみにこの監督さん、初めて映画を観ましたけど・・・
次回作「洋菓子店コアンドル」の監督もやっていらっしゃるようです。
 
こちらも今月公開。
 
蒼井優が出ているので見に行くつもりです(笑)
 
 
 
イメージ 3
 
また、原作が売れていて大変話題の「神様のカルテ」では、宮崎あおい×櫻井翔を主演にこの監督さんが担当するそう。
 
公開が8月末なのに、既にチラシが(笑)
早いな。
 
ただこちらは・・・
本屋大賞にもランクインしてるし、売れているし、人気なのにも関わらず、個人的にあんまり原作が面白いと思わなかった(普通だった)ので、観ないかもなあ。
 
機会がなかったら、多分観ないだろうなあ。
 
 
という訳で、本年一発目の映画は「白夜行」でした。
それにしても午前中一番に見に行ったのですが、朝から見る内容ではないですね(苦笑)
 
何ともやりきれない気持ちになりました。