No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

ぼくの歌が君に届きますように

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大事なのは、どの楽器を演奏するかじゃない。誰と、どんな演奏をするかだ(天野純希『ティーンエイジ・ライオット』)。

きのう、ヴィヴァルディ先生が亡くなったと、アンナ・マリーアが泣きながらわたしのところへ来た(大島真寿美ピエタ』)。

授業や部活で毎日のように使っている音楽室なのに、先輩がいるだけで、全然違う場所みたいに見えた(風野潮『晴れた空に、ブラスが響く』)。

港の公園での母の歌を、なぜか、ぼくは、母が自分でつくったものなのだと思い込んでいた(川島誠『カモメたちの歌』)。

オープンリールのテープが回り出して、お昼の校内放送のエンディングテーマ、ビートルズの“ハロー・グッドバイ”が流れ出す(小路幸也『peacemaker 1974年の赤星祭』)。

ジーサン達は鬼気迫る顔つきで、ギターをかき鳴らし、叫び、ドラムをぶっ叩いた(丁田政二郎『ド派手じゃなけりゃロックじゃない!』)。




青春小説アンソロジー

このシリーズ、Heart Beatは既に読んでいたのですが、この本で2冊目。

勿論どちらにも収録されている小路さんの作品が読みたいという理由で借りた本だったのですが、こっちのが私は好きですね。


小路さんの「ピースメーカー」シリーズ、このアンソロジーに収録されているものと、書き下ろしを加えたら一冊の本になりそう。
そのうち発売されるかも!
これは色々話が作れて面白そうだと思います。

今回の展開も良かったのですが、ラストが唐突に終わっちゃった感じが残念。
あの後がどうなったのか、個人的にはとても気になりました。


小路さん、天野さん、大島さんの作品は、本として単体でちゃんと読んだ事があって、川島さんはアンソロジーで、もしかしたら風野さんもあるかもしれませんが、丁田さんは初めてでした。

前半、小路さんの作品から、天野さん、風野さん、丁田さんの作品まではとても楽しんで読むことが出来ました。

文化祭でのバンドのライブ、吹奏楽、60代のロッカー達――

特に丁田さんの話はかなり奇抜!こんな老人達がいたら、格好良すぎる。今時60代なんてまだまだ若いもんね!

そして、風野さんの作品は「モデラートで行こう」のスピンオフ小説らしいので、本編も気になりました。
先輩と後輩の淡い恋の模様、青春小説にありがちなんだけど、どうしてこんなにキュンとするのかしら。
後輩は可愛いんだけど、やっぱり頼りなくて、たった2歳差なのにね。学生の頃って、1学年の差って、かなり大きく感じますよね。

天野さんの作品は、もうラストまで展開が読めちゃうのだけど、面白かったです。
売れ筋のヒットチャートなんかじゃなくて、自分達がやりたい曲についてきてくれる人に聞いてもらえればいい、って・・・凄く良く分かる!
私の高校時代がまさにそんな感じだったから。

こういう作品を読むと、高校時代にバンドをやっていなかったことが本当に悔やまれます!


そして、川島さんと大島さんの話。

うーむ。この2作品は微妙でした。
川島さんの話は、ちょっと暗かったかなあ。こういう青春アンソロジーでは、若干重い気が・・・
短編で語るにはちょっともの足りない感じも。

大島さんの話は、うーん全然理解できなかった・・・
私はどうも外国人が主人公、みたいのが苦手なんです。

4作品は面白く満足で、風野さんと丁田さんの作品も読んでみたいと思いました。

このシリーズ、もう2つあるようなので(確かあさのあつこさんと、誉田哲也さんの作品があったような)そちらも機会があれば読んでみたいと思います。