怨みを伴う死は「穢れ」となり、あらたな怪異の火種となるのか──。畳を擦る音が聞こえる、いるはずのない赤ん坊の泣き声がする、何かが床下を這い廻る気配がする。だからあの家には人が居着かない──何の変哲もないマンションで起きる怪奇現象を調べるうち、浮き上がってきたある「土地」を巡る意外な真実。著者九年ぶりの五〇〇枚書き下ろし、戦慄のドキュメンタリー・ホラー長編。
小野不由美さんの本です。
先日読んだ「鬼談百景」が何故99話しか収録されていなかったのか。
なるほど、この作品が100話目ということなのですね。
鬼談百景を読んでしばらく夜トイレに行くのも恐くて読まなきゃ良かったと後悔に襲われていたのですが、この作品はもっと小説らしい小説だと思って読み始めてしまいました。
私はずっと、この話は小野さん本人の実話であると思って読んでいたので更に恐かったのですが、実話っぽく見せかけたフィクションという人と、実話と言う人がいて、一体事実はどちらなのでしょうね?
恐い話は得意ではありません。
できれば聞きたくないけど、全力で否定する程苦手という訳でもないです。
でも、こういう実際にあった事を元に?じわじわと恐さが迫ってくる感じは何でこんなにぞっとするのでしょう。
特に落ちつける場所であるはずの家に、いるはずのない者の気配、姿、音がある。
それは気のせい、幻、疲れやストレスや気にしすぎといった錯覚の可能性は絶対にある。
だけどもしかしたら・・・と思わせてしまう恐さがあって、恐くてたまらないのに、どうしようもなく惹きつけられるのを感じました。
本を置いておくのも恐いし、すぐに読み終えて図書館に返却しましたが(笑)、読み応えは十分あり、満足感もありました。
聞いたり調べたりするだけで禁忌に触れるという話がある中で、この小説を読むのは問題ないのだろうか?と不安になるのですが、元旦早々階段から落ちて一週間経過しても足のアザが引かない今の状態が、もしこの本を読んだ後だったら余計に恐かったかも(笑)
幸いにして、単純に目が悪くて見えていなかっただけでした。
あーしかしまたしばらくは夜中恐いなと思うのが続くのでしょうね。
(4.5点)