No-music.No-life

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たとえば、世界が無数にあるとして

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高校二年。部活の盛んな高校で、「進路研究クラブ」に入れられた“帰宅部”の4人。その現在と未来、過去と今を鮮やかに交差させて描かれた、成長と悲しみと歓びの物語。


生田紗代さんの本です。
 
生田さんの作品を読むのはこれで三作目?かな。
やっぱり好きだなあ。なんていうか、私が書きたい小説はこういうのなの!と言いたくなる感じ。
 
自分も高校時代、底辺にいて、帰宅部でバイトと資格試験合格に向けてただただ生きてきた人間だったので、この4人の不器用さにあまりにも共感し過ぎてしまいました。
 
上手く言葉にできないのがもどかしいけど、例え高校時代が「普通」とは違う、異質な存在であったとしても、それでもこの4人はちゃんと成人して、仕事をして、恋人ができて、結婚をして毎日を過ごす事ができている。
 
10代の頃の辛いできごとなんて、本当に一生を考えたら一瞬のできごと。
だけど当時はとてつもなく毎日が長くて辛くて仕方がなかったんだよなあ。
 
読んだ後にじわじわと余韻が滲んでくるような。
決してハッピーな話ではないのに、後から後から言葉に言い表せない何かがくる感じです。
 
タイトルがまた秀逸。
私はこういう小説、大好きです。
(4.5点)