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犬坊里美の冒険

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衆人環視の総社神道宮の境内に、忽然と現れて消えた一体の腐乱死体。容疑者として逮捕・起訴されたホームレスの冤罪を晴らすために、司法修習生・犬坊里美が活躍する! 里美の恋と涙を描く青春小説として、津山、倉敷、総社を舞台にした旅情ミステリーとして、そして、仰天の大トリックが炸裂する島田「本格」の真髄として、おもしろさ満載の傑作司法ミステリー!


島田荘司さんの本です。
 
久しぶりに御手洗潔の名と、石岡君が登場してテンションが上がりました。
御手洗シリーズではお馴染みの犬坊里美が主人公。
前々から読みたいと思っていたのですが、ようやく読みました。
 
初登場時の「龍臥亭事件」の時には女子高生だった里美も27歳。
司法試験に合格し、司法修習生として事件の真相解明に乗り出すも、容疑者の男性にからかわれて泣いてしまうわ、ハンサムな同僚に心がふらつくわ、肝心の修習生としての出来も今一つ。
初登場時のぽやんとした頼りない印象がまた戻ってきて、やっぱり里美はあまり好きなキャラではないな、と思ったのですが・・・。
 
ここで石岡君がちょこっとばかし、電話口でですが登場すると、里美が本当に好きな人が誰なのかが少しばかり触れられるんですね。
だけど確信には触れないから、え?やっぱりそうなの?でも違う?と悶々としてしまうんです。
それでも窮地に陥った里美を救うのは石岡君の一言で、なんかもうあの電話のシーンだけできゅんとしてしまいました。
 
今回は里美が探偵役になるものの、物凄く頼りないです。
いざとなったら御手洗に相談すればいい、と本人も思っていても最終的には里美一人の力で事件の真相に迫る後半はぐっと面白くなります。
 
また、前半ちょっとしたエピソードとして出てくるなんてことのない話も、最後の真相にちゃんと絡んでいるので用心深く読む事をお薦めします。
私は完全にやられた!と思いました。
 
修習生の同期の男子二人がいざというときに全然頼りにならなかったのが残念でしたが、ラストの里美の大逆転には、登場人物達と一緒に拍手を送りたくなりました。
 
最初からラストまでとてもすらすらと読めた分厚い小説というのも珍しく、とにかく読みやすかったです。
それは自分が好きな御手洗シリーズに関連する人の話だからというのもあるのでしょうかね?
 
続編もある、と解説にはあるのですが・・・出ていない?
ぜひとも里美の活躍を今後も読みたいところですが、続編に期待しましょう。
(4.5点)