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七緒のために

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主人公の私=雪子は中学2年生。以前通っていた女子校に馴染めず、東京の中学校へ編入してきた。そのクラスで出会った本好きの少女・七緒に誘われて美術部に入り、予測のつかない彼女の言動に翻弄されながらも、きらめくような日々をともに過ごす。しかし次第に七緒がクラスから浮いていること、その言葉にウソが混じっているらしいことに気づき始める。美術教師の突然の死やカウンセラーとの関わりの中で、ふたりが共有した真実と嘘の間で揺れ動く私。やがてある事件を経てふたりは疎遠になっていく・・・。
純粋さゆえに傷つけあう少女同士の関係、友情の輝きと痛みが詩情あふれる筆致で描かれた珠玉作。


島本理生さんの本です。
 
久しぶりの島本さん。
最近の島本作品は、ひりひりした傷み、傷がえぐられるような苦しさを伴う話が多いですね。
今回は中学生という多感な時期の2人の少女の物語ということで、中学生特有の狭い範囲の人間関係の苦しさとかあの頃ゆえのしがらみであるとか、昔14歳だった頃の自分の経験を思い出しながら痛いなあとしみじみ思ってしまいました。
 
どうも雪子も七緒も個性派で掴みどころのない性格だったので好きになれず。
 
どちらかというと、「水の花火」が好きです。
そうそう、島本さんといえばこういう瑞々しい感性が光る作品だよね、と思いながら読んでいたら、私が最も島本さんの作品が好きだった頃、島本さんのデビュー当時高校生の頃の作品ということで納得しました。
 
高校生でこんな作品が書けてしまう島本さん。
10年以上もの時を経て、当時私が好きだったものとはちょっと離れていってしまっている気がするのは少し寂しいですね。
同年代の女性作家(多分同い年だと思う)ということで、勝手に親近感が湧いているのですが、やっぱり好きな作家の一人ですから。
(4点)