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無花果とムーン

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「あの日、あの瞬間がすべて。時間よ、止まれ」あたし、月夜は18歳。紫の瞳、狼の歯を持つ「もらわれっ子」。ある日、大好きなお兄ちゃんが目の前で、突然死んでしまった。泣くことも、諦めることもできない。すべてがなんだか、遠い―そんな中、年に一度の「UFOフェスティバル」が。そこにやってきた流れ者の男子・密と約。あたしにはどうしても、密がお兄ちゃんに見えて―。少女のかなしみと妄想が世界を塗り替える。そのとき町に起こった奇跡とは。


桜庭一樹さんの本です。
 
表紙イラストが酒井駒子さんだったので期待していました。
 
桜庭さんは私の中では、作品によってかなり好き嫌いが分かれる作家さんです。
赤朽葉家の伝説」「少女七竈~」などはかなり好み。ですが、少女が主人公の話となるとちょっと好みではないようです。
 
本作も大分変わりものの「不思議ちゃん」系の女の子が主人公。
どうもこの子の語り口調が好きになれなくて・・・。
 
好みの作品ではないのですが、桜庭さんの作品はやはり何処かで人を惹きつける部分がありますよね。
決して途中で投げ出したくなるほどではなく、最後まで読みました。
 
苺苺苺苺苺と書いて、「イチゴ」先輩が個人的に一番好きかも。
それにしても、桜庭さんの小説の登場人物はありえない名前が多いですね。
 
「奈落」って・・・。何故そんな名前をつけたのかしらと疑問に思ってしまいます(笑)
 
大切な人を失う事の喪失感が、ただ涙を流すという悲しさで表現するのではなく、本当に現実感が湧かない、という状態をもって読み手に知らしめます。
好みではないですが、不思議な魅力のある作品でした。
(4点)