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かがみの孤城

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あなたを、助けたい。

学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた――
なぜこの7人が、なぜこの場所に。すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。

辻村深月さんの本です。
 
絶賛されているのを見ていたのと、辻村さんの本ということでかなり期待していました。
 
ようやく図書館で借りる事ができ、早速読むことに。
 
物語の主人公は中学生。
 
とある事がきっかけで不登校になってしまった少女が、部屋の鏡の中から狼面を被った少女に誘われ、孤城へ辿りつきます。
 
その時点で不思議系の話なのですが、そこには少女の他に6人の中学生の男女が。
 
城の中から鍵を見つけ、扉を見つけたものの願いを叶えるという狼面の少女。
 
少しずつ見つかる7人の共通点と深まる謎。
見つからない鍵。
 
最初は見ず知らず同士、城の中でだけ会う不思議な関係だった7人が、少しずつ打ち解け、大切な存在に変わっていく過程が良いです。
 
勿論、意見の食い違いや考え方の違いなどで衝突したり気まずくなったりしながらも、信頼関係に変わっていく様が素敵でした。
 
辻村さんの描く人間関係は本当に容赦ない。
この主人公の女の子のように、不可抗力で「いじめ」の標的にされてしまう子がいて、そしていじめる側の身勝手過ぎる理由、態度があまりにもリアルでぞっとする。
 
そして城に集められた他の子達も、理由はどうあれ「普通」から弾かれ、学校に馴染めない子ばかり。
展開は予想できるものもあったものの、ラストではあっ!という驚きとじわじわとやってくる感動に包まれます。
 
辻村作品の「ぼくのメジャースプーン」とか「名前探しの放課後」が好きな人、SF(少し・不思議)が好きな人には特に楽しめるかと。
それだけではなく、学校に馴染めないなと悩んでいる子、思春期の頃の人間関係の苦しさを懐かしくも苦い思い出として持っている大人にも、色々な人に刺さる物語かと思います。
 
分厚いずっしりとした本ですが、ぐいぐい引き込まれました。
期待通り。オススメです!
(4.5点)