子どもの頃、流行っていたおまじないは、嫌いな人、消したい人の名前を書いた紙を十円玉と一緒に十日間続けて賽銭箱に投げ込むことだった。ある日、子どもたちは消えた子どもについて相談していて……(「十円参り」)。あるホラー作家が語る謎のファンレターの話を聞きぞっとした。私のところにも少し違う同じような怪しい手紙が届いていたからだ。その手紙の主を追及するうちに次々と怪しいことが連続し……(「手紙の主」)。出産のため里帰りしていた町で聞いた怪しい占い師の噂。ある日、スーパーで見知らぬ老女を見かけた瞬間、その人だと直感し……(「私の町の占い師」)。
辻村深月さんの本です。
私は怖い話が得意ではありません。
特に本は、映像がない分想像力が書きたてられて、読んだ後にじわじわと怖さが迫ってくるので苦手。
未読の辻村さん作品でも読むか読むまいか迷っていたのですが、やはり読みたいと借りてみました。
後悔はないですが、作品によっては後から後から怖さがやってきて・・・・
「手紙の主」「スイッチ」、なまはげの話などは結末が書かれていないだけ、その後の事を考えるとぞっとしてしまいます。
また、自分は子供を産んだ経験がないので分からないものの、自分の子供の夜泣きに付き合い、寝かしつけようとした時に自分の子供が布団に寝ていた!ではこの手に抱えている子供は誰なのだ?!という話とか、リアルでぞっとするものばかり。
中にはちょっとオチが分かりづらいなと思うものもあったものの、読みやすい短編なのでついつい読んでしまいました。
紫の鏡は私も小学生の時に聞いて、20歳までに忘れられるのだろうか・・と当時遠いと思っていた未来を想像して震えていました。
今はネットで何でも信憑性を調べることができるけど、当時はそんなものがなかったし、噂、手紙、伝達など都市伝説などを流行らせるには十分信憑性がありえるものが多かった気がします。
小中学校の家と学校だけの狭い世界の中では、今みたいに笑い飛ばすことができないリアルさがあったよなあ。
そんな懐かしい気持ちになりつつ、やっぱり今も思い出してじわじわ怖さがきていたりします。
(4点)