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カマラとアマラの丘

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廃墟となった遊園地、ここは秘密の動物霊園。奇妙な名前の丘にいわくつきのペットが眠る。弔いのためには、依頼者は墓守の青年と交渉し、一番大切なものを差し出さなければならない。ゴールデンレトリーバー、天才インコ、そして……。彼らの“物語”から、青年が解き明かす真実とは。


初野晴さんの本です。
 
初野さんの「ハルチカ」シリーズやデビュー作のような読後感は好きなのですが、作品により好き嫌いがある作家さん。
何故か地元の図書館にやたら初野さんの本が置いてあるので、何となくいつも借りてしまいます(笑)
 
今回は好きな感じでした。
 
動物の感情を理解し、人間の本性を観る事ができる不思議な青年。
動物の霊園があるという廃墟になった遊園地。
 
そこに辿り着く人間達は、動物たちと濃密な時間を過ごしてきた「訳あり」ばかり。
本質を見抜く事ができる青年は、相手の隠していた真相を言い当てる。
 
青年は生きた人間なのか、何故ここにいるのか?など多くは語られないのだけど、もし死んだ人間なのだとしたら、きっと過去は暗いものがあったのだろうと思われる描写などもあり考えてしまう。
 
最後の章でこの番人とも言うべき青年の存在の過去などが描かれるのか?と思ったけどそういったものは一切なかったですね。
シリーズものとしても書けそう。
 
私は動物を飼った事はないのですが、人間との間よりも人間らしい感情で結ばれるほどの動物への愛。
それは何処か切なく儚いものがありました。
(4点)