No-music.No-life

ヤフーblogから移行しました。

アルカトラズ幻想

島田荘司さんの新作。

何故だろう?
唐突に島田さんの本を読みたくなる時があります。
薄っぺらく中身のない小説があふれる中で、読ませる力を持つ小説を書けるのはやはり島田さんです。

冒頭で猟奇的な死体が発見され、犯人を追う警察視点から描く第一章から、恐竜と重力の関係を論文で示してみたり(ここだけは難し過ぎて読むのが大変でした)、犯人逮捕からアルカトラズの刑務所に収監され、脱走を企てる仲間に入れられる事になり、脱走を試みるが…怒涛の展開の第三章。
突然パラレルワールドの如く、パンプキン王国なる世界に迷い込んだかに見えた第四章からの、仰天の事実が描かれるエピローグまで、どの話も単体で関係ないように見えて、実は一つに繋がり、次の章への伏線が沢山散りばめられていました。

時代背景も、
第一次世界大戦や第二次世界対戦あたりなのは何か意味があるのかなあ?と思っていたら、あのエピローグです。
収監されていた際に、もう一つの世界か存在するという説もあったので、本当にパンプキン王国なるものがあるのかと錯覚してしまうほど。

いやー分厚く読むのに時間がかかり、旅先まで持ってきてしまいましたが(笑)、満足しました。
島田さん、やはり凄いです。
(4点)