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檻の中の少女

 
 
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「息子は自殺支援サイト『ミトラス』に殺されたんです」 サイバーセキュリティ・コンサルタントの君島のもとへ老夫婦が依頼にやってきた。自殺したとされる息子の死の真実を知りたいのだという。息子はミトラスに多額の金を振り込んでもいたらしい。 ミトラスは自殺志願者とその幇助者をネットを介在して結び付け、志願者が希望通り自殺出来た際に手数料が振り込まれるというシステムで、ミトラス自身はその仲介で多額の手数料をとるのだという。 さまざまな情報を集め、やがて君島が「真相」を解き明かし、老夫婦の依頼に応えたとき、これまで隠されてきたほんとうの真実【エピローグ】が見え始める──


一田和樹さんの本です。
第3回ばらのまち福山ミステリー文学新人賞受賞作とのことで、島田荘司さんの解説が巻末についております。
 
相沢沙呼さんの「酉之初」シリーズのイラストも手掛けている、加藤木麻莉さんがイラストを担当。
ついついそのイラストに惹かれて手に取った作品でしたが、なかなか面白い作品でした。
 
何処となく軽い雰囲気を漂わせた、ハードボイルドな私立探偵?の主人公。
インターネットの世界の闇と穴を見事に描き、自殺した男の死の真相を知りたいと言う依頼者からの依頼に応えるべく動き出す主人公。
 
サイバーセキュリティというあまり詳しくないジャンルながら、インターネットバンキング、ソーシャルネットワーク、ブログやツイッターなど、現代日本で使われているものが沢山でてきます。
自身もそれらを勿論使っているけれど、セキュリティへの認識不足や甘さは指摘されるとちょっとギクッとしてしまうほど感心や知識がないものかもしれません。
 
そんなセキュリティの穴とか、「年寄りはパソコンなんてできない」という偏見やなんやらが、後半の真相に辿り着くにつれ、あっ!と思わされます。
 
序盤から中盤までのストーリー展開はお見事!ぐいぐい引き込まれます。
 
しかし、若干ネット関係に詳しくない人や、私程度の知識しか持っていない人が読むと、だんだんちんぷんかんぷんに思えてくる所もあったり。
 
それでも、ラストの「エピローグ」でタイトルの意味が見えて来て、ラストで更にぞっとする予兆が見える結末に圧倒されました。
 
非常に上手いです。
続編も出ている様子。読んでみよう。
(4点)