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クラウドクラスターを愛する方法

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「輝くような人生の流れに乗るためのボートは、どこにあるんだろう」。
誕生日を間近に控えた大晦日の朝、3年間一緒に暮らした彼が出て行った。 その原因は……


窪美澄さんの本です。
 
ふがいない僕は空を見た」「晴天の迷いクジラ」に続き、第三作目の窪さんです。
 
前二作が連作短編ということもあり、一冊を通しての長編だったことを考えると、今回は中編と短編の2作品が収録され、前二作に比べるとインパクトというものはありません。
それでも、三作目を読んでようやく私は窪さんが好きな小説家、と思えました。
 
デビュー作はちょっと自分好みではないけど印象に残るな、と思っていて、二作目でこれは良いかもしれない。でももしかしたら苦手な作品もあるかも・・・と構えていたのですが、そういった印象が全て取り払われて素直に良いな、と思えたというか。
 
また、とにかく文章の巧さ、表現力の巧みさには脱帽ですし、離婚やら家族の問題でぎくしゃくした微妙な家族の距離感が上手い具合に描かれていて、実際親が離婚している私から見ても何かこの気持ち凄く分かる・・・!と思いながら読んでいました。
 
クラウドクラスターがプラズマクラスターみたいな名前なんですが、積乱雲の大きな固まり、という意味なんだそうな。
 
個人的にはキャッチアンドリリースが好みかな。
(4点)