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来たれ、野球部

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頭脳・容姿・運動神経の三拍子揃った「選ばれし」喜多義孝と、幼馴染みの目立たない「ふつうの」宮村奈緒。10年前に自殺した女子高生の一冊の日記をきっかけに学園のエースは異変をきたす。そのとき、彼女は―!?純文学の気鋭が挑む、ハイテンション学園ラブストーリー。


鹿島田真希さんの本です。
 
初めて読んだ作家さんですが、何だか何処かで名前を見た事があるような、と思っていたら辻村さんが直木賞を受賞した時に芥川賞を受賞した作家さんでした。
 
なんというか、あれですね。
文章がとても軽く感じますね。
軽いと言っても、すかすかとした印象の軽さです。
 
まず言いたいのが、野球部での熱い青春群像劇やら、表紙からイメージするラブストーリーなどでは一切ないということです。
というより、どうでもいいけどイラストとタイトルと中身がこんなに合っていない本ってあったかな?!と声高に叫びたいです。
 
なんかもっとこう!爽やかな話だと思っていたのに!!!
 
そして容姿端麗成績優秀スポーツ万能で性格も良くモテる爽やか男子だけど、実は影ですっごい黒いものを抱えている優等生という喜多と、何処か飄々として掴みどころのない女子(奈緒)のキャラ設定が、まんま津田雅美さんの「彼氏彼女の事情」の有馬と雪野なんだよなあ(本作のこの女子は雪野ほど頭も良くないし容姿も普通のようですが)。
 
あと、語り手が4人もいるから読み始めは何だかとても読みにくくて面食らってしまいました。
慣れれば大丈夫ではあるのだけど。
 
うーん、なんか妙に引きつけられる気持ち悪さがあったんだよなあ。
この優等生男子のダークな一面、粘着質というかサディスト的と言うか、すっごく気持ち悪くて不快感を抱くのに、だけど続きが気になる・・・みたいな。
 
それにしても、いまいち奈緒の心変わりが理解できなかったんですが。
あと先生二人の立ち位置もちょっと中途半端だったような。もう少し主役二人に切り込んでくるのかなあと期待したのですが・・・。
 
読んで損したとか思うほどではないのですが、何だか消化不良感で一杯。
 
あと、野球部である意味は全くないと思います。野球の描写も最後にちょっと書かれている程度。
そして野球部なら坊主とは言わずとももうちょっと髪が短いんじゃないのかなあとイラストを見て思ったりしました。
 
うーん、何だか不思議な読後感でした。
(3.5点)