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ラブ・ケミストリー

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どんなに複雑な物質であっても、瞬時に合成ルートを編み出す能力を持つ大学院生・藤村桂一郎。ところが彼は研究室にやってきた新人秘書・真下美綾にひと目惚れし、能力を失ってスランプに陥ってしまう。そんなある日、カロンと名乗る黒衣の妖女が「キミの能力を取り戻してあげる」と現れ、美綾への告白を迫るが…。東大で理系草食男子が巻き起こす前代未聞のラブコメ&ミステリー。東大卒の著者が描く“日常系コメディ”登場!天才的
化学センスをもつ藤村桂一郎は、初恋によってスランプに!突然現れた死神・カロンに振り回され、超オクテの草食男子はどこへ行く!?2011年第9回『このミス』大賞優秀賞受賞作。


喜多喜久さんの本です。
 
カスヤナガトさんの装丁に惹かれて手に取った方も多いのでは?
個人的には中村佑介派な私ですが、それはどうでもいいとして。
 
「第9回 このミステリーがすごい!」の優秀賞作品でございます。
 
このミスの受賞作は一時色々読んでみようと手を出した事があったのですが、個人的に当たり外れが激しいので要注意の賞だと思っています(大抵は面白いんですけども)。
 
この本は書店で見かけた装丁と「このミス優秀賞」という帯に惹かれて借りたのですが、これは果たしてミステリなのか?!という話でありました。
 
まずもって、文系の私には理数系の複雑怪奇な専門用語が全く入ってこない。
難し過ぎて訳が分からなくなってくる、そんな冒頭から突然人間ではない不思議な存在の「カロン」が誰かの依頼を受けて、初恋をきっかけに特殊能力を失ってしまった男の子を助ける事になった、というまた突飛な展開が混ざります。
 
私的に、この男の子が一目ぼれしてしまった女性へのたどたどしいアプローチが何だか微笑ましく、どちらかというと恋愛小説として楽しめました。
 
カロンが依頼を受けていた人物は何となく想像できましたが、ちょっとばかしラストが無理のある展開だったような。
あんなに一瞬で心を奪われた女性への恋心を簡単に断ち切れたなら、もっと簡単に能力も戻ったのでは?と煮え切らない部分もありつつ、「有機化学ラブストーリー」としては十分楽しめました。
 
シリーズ化もできそうなカロンのキャラクターは良かったです。
それなりに楽しめたので、装丁で気になられた方は一度読んでみては?