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嵐のピクニック

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優しいピアノ教師が見せた一瞬の狂気を描く「アウトサイド」、ボディビルにのめりこむ主婦の隠された想い(「哀しみのウェイトトレーニー」)、カーテンの膨らみから広がる妄想(「私は名前で呼んでる」)、動物園の猿たちが起こす奇跡をユーモラスに綴る「マゴッチギャオの夜、いつも通り」、読んだ女性すべてが大爆笑&大共感の「Q&A」、大衆の面前で起こった悲劇の一幕「亡霊病」…などなど、めくるめく奇想ワールドが怒涛のように展開する、著者初にして超傑作短篇集。


本谷有希子さんの本です。
 
本谷さんの作品といえば長編、というイメージで今回初めての短編集だそうです。
 
短編はどんなもんだろ?と読んでみたところ、やはり本谷さんは上手いなあと実感。
そして、こんな引き出しも持っていたんだ!と新たな発見もあり嬉しい限り。
 
今までの作品は、酷く現実的な世界で頭がいかれているちょっと変わった主人公が主人公、みたいな印象が強いです(笑)
しかし本作の作品は、何処か歪な世界、非現実的な世界や空想上の設定など、こんな世界がある訳がない、というようなものが多いです。
 
しかしその中に、本谷さん特有の「毒」が入り、短編なのに強いインパクトを残す作品ばかりでした。
 
いまいちオチが分からないものもあったのですが、くすっと笑えるものから後味が悪くぞっとするものなど様々。
 
新たな本谷さんの魅力を再発見できる作品になっております。
ぜひぜひ。
(4点)