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番犬は庭を守る

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原子力発電所が爆発し、臨界事故が続発するようになった世界では、放射能汚染による精子の減少と劣悪化が深刻な問題となっていた。優良精子保有者である「種馬」の精子は民間の精子バンクが高額で買い上げ、その一家には一生遊んで暮らせる大金が転がり込んで来る。
一方で、第二次性徴期を迎えても生殖器が大きくならず、セックスのできない不幸な子供たちは「小便小僧」と呼ばれていた。高校を卒業し、警備保障会社に就職をした小便小僧のウマソーは、市長の娘に恋をした罰として、使用済みの核燃料や放射性廃棄物で溢れる、廃炉になった原発を警備することになる。やがてウマソーの性器は徐々に失われ…。人々が原子力を選んだ結果、生まれてしまった世界。だが、それでも紡がなければならない未来がある―。
全編を通して岩井美学に貫かれた、豊饒なエンターテインメント。10年ぶり、書き下ろし長編小説。


岩井俊二さんの新作です。
 
岩井さんの本を読んだのはいつぶりだろうか・・・。
私が岩井俊二に興味を持ったのは、遅まきながら「リリィシュシュのすべて」からでした。
 
「リリィシュシュのすべて」は、私にとって、多分一生忘れる事がない思い入れのある作品でもあります。
初めて見た時の衝撃。劇場に二回足を運び、DVDを購入して何度も見て。
市原隼人蒼井優のスクリーンデビュー作でもあり、自然と他の岩井監督の作品にも興味を持ち、その他の岩井作品を見る機会がありました。
この作品は「スワロウテイル」の世界感に近いのかな。
人間の黒い所や汚い所も、惜しみなく描かれているこの感じ。
 
ちょっと私には苦手な世界感。
それと、自分の頭が追いついていかない感じ。
多分、もう少し歳を取って読んだら、感じ方も違ってくるのかもしれない、というような。
 
福島の原発問題を意識して書かれた作品なのかな、と単純に思っていたのですが、書き始めたのは10年以上も前なんだとか。
小説だけでは私の頭で想像しきれないところが多々あって、いつか、岩井監督の手で映像化されることを期待しております。
 
しかし私にはこの作品の7割も良い部分を理解することができなかったことだけが、非常に残念です。
あと、男性の生殖器にまつわる話でもあるので、女子によっては苦手意識を感じる方もいるかも(私も、結構リアルな感じの描写は苦手なんですよね・・・)。