石ノ森学園中学校に転校してきた中学3年生のアリスこと有栖川徹子は、1年前に「ユダが、4人のユダに殺された」という3年1組に関するうわさを耳にする。彼女は自分の家の隣の屋敷が「花屋敷」と呼ばれ、この辺りの中学生たちを怖がらせていることも知る。隣家の住人のハナならユダについて何か知っていると聞かされたアリスは、花屋敷へ足を運び……。
監督:岩井俊二
待望の岩井俊二監督最新作。
しかも!あの大好きな「花とアリス」の中学時代の話!
そして監督初のアニメーション!
楽しみにしない訳がないですよ。
11年前だってよ、花とアリスから。
当時は友達と初日に新宿まで観に行って、満席で立ち見をした記憶があります。
大好きでDVDも購入し、何度も何度も見た映画です。
本編(実写版)では、花が過去に引きこもりだった時期があるという話がちらっと出てきますが、本作(アニメ)ではその花が何故引きこもることになってしまったのか、という話を描いています。
あの頃10代だった主演の二人も、今では立派なアラサー。
中学生役を声で演じるってどうなのかしら、と思いつつ、声優を担当していた映画などを見ても上手かったのであまり心配はしていませんでしたが・・・
結果、全然違和感はありません。
誰がやっているのかな?と思うくらい自然。
(平泉成は除く)
元々実写が先ということもあるし、モデルが実際声を担当されている俳優さんなのかな?という感じのアニメーションなので、その人自身が喋っているような感じが出ています。
また、実力派俳優陣が揃っているという点もポイントだと思いますね。
俳優が声優を担当するとありがちな「あの人(俳優名)が演じてるな」「棒読み」「違和感ある」といった事は全く思わず、気にならなかったです。
肝心のストーリーは、随所に実写版に繋がる伏線・シーン・台詞や設定が散りばめられており、バレエのシーンやアリスが父と会う場所であるとか、思わず感極まります。
実際の風景をトレース?してアニメーションに載せている?のかな。
なので、若干粗がある所はあったと思います。
あと中盤中だるみな所とか。義務教育なのに留年ってあるのかなとか気になる所はいくつかあります。
ただ、やはり花とアリスが好きな人にとってはとにかく嬉しいばかりなのです。
あーそうそうこの感じ。ワクワクするような、ドキドキするような、だけどちょっとだけ切ない感じ。
私はこの世界感が大好きです。
可能ならば、もう一度あのキャストで観たかったというのもあります。
物理的に不可能だとしても。
一緒に観に行った相方は「キャストを変えてでも実写でやった方が良かったと思う。アニメーションとしては描き切れていない所の粗が目立ってた」と辛口批評(アニメに詳しいため)でしたが、キャストが変わったら花とアリスではないし、別物の映画になってしまうと思う。
岩井俊二ならではの映像美。
このキャストだからこそできた事だと思うんですよね。
このまま実写版の花とアリスをまた見たい気持ちで一杯です。週末にDVDでも観ようかな。
ちなみにこの映画のノベライズは乙一さんが担当。
前売り券を購入し、パンフレットも買ってしまいました。
やっぱり大好きな作品です。
ファンの方もそうでない方も、ぜひ劇場へ足を運んでみてください。
(4.5点)